「日本沈没」13歳子役デビューのベテラン石橋蓮司の熱演が話題に
小栗旬が主演するドラマ「日本沈没-希望のひと-」(TBS系、日曜午後9時)ではベテラン俳優の活躍が作品の屋台骨を支えている感がある。28日放送された第7話では里城副総理兼財務大臣役の石橋蓮司の説得力ある名演がネット上でも話題になっている。(以下ネタバレあります)
残り2話もベテラン俳優の演技に注目
これまでは日本沈没の可能性を否定する側だった里城が、さまざまな経緯から最終的には沈没を受けとめざるを得ない状況に追い込まれた際の演技から醸し出される焦燥感は圧巻で、放送終了から1日経過した現在もネット上に石橋の名前が躍っている。「里城副総理の方…演技上手いなー」「石橋蓮司さんの演技が圧巻。日本を愛していて、沈むなんて認めたくない。悲しいっていう気持ちが全部芝居に現れてた」など、視聴者の感動を呼んでいる。 1941(昭和16)年東京出身で80歳になる石橋だが、中学時代に劇団若草に所属し13歳のとき映画「ふろたき大将」(関川秀雄監督)の原爆孤児役で主演以来、役者一本の人生を歩んできた。同作は最盛期には年間90本以上の作品が製作された東映児童映画の記念すべき第1回作品だ。 「『ふろたき大将』では瀬戸内海にある原爆孤児を育てる学園の風呂焚き係として成長していく少年役を好演していますが、実際の石橋さんも東京大空襲の焼け跡で育ち、戦後復興から高度成長期の日本で役者として成長していきました。『日本沈没』では焼け野原から日本人が努力を重ねて築き上げてきた日本が沈むということの意味を、繁栄する日本の映像に重ねて苦渋に満ちた表情で語りますが、あれはまさに石橋さんのような役者でなければ表現しきれない説得力ある演技だと思います」(映画情報メディア50代男性編集者) 今作で田所博士役を演じている香川照之も大活躍した「半沢直樹」など、企業や政財界を舞台にしたドラマでは上層部の登場人物の年齢設定が高くなることからアラフィフ、アラカン、あるいはそれ以上の年齢のベテラン俳優の活躍が毎回話題になる。「日本沈没」でも石橋をはじめ世良元教授役の國村隼や生島自動車会長役の風間杜夫などベテラン俳優がドラマに重厚感を与えている。 「加えて香川さん55歳、東山総理役の仲村トオルさん56歳、長沼官房長官役の杉本哲太さん56歳とアラフィフ世代の俳優たちがしっかりと脇を固めていることで主演の小栗さんや松山ケンイチさんの若々しくエネルギッシュな面が強調されています。小栗さんも松山さんも30代後半で若手ではなく役者としてキャリアを重ねてきていますが、企業や政財界などが描かれる作品ではまだまだ青年ということでしょう」(スポーツ紙50代男性記者) 残すところ2話となった「日本沈没-希望のひと-」。日本人移民を受け入れてもらうための諸外国との交渉が始まりドラマは佳境を迎える。 (文・志和浩司)