米年金基金がビットコイン採用──保守的なプロにも長期的展望への期待高まる
リスク嫌いの年金基金による受け入れ
最大の買い手はヘッジファンドのミレニアム・マネジメント(Millennium Management)で、総資産の約3%を複数のファンドに配分したが、その大半はブラックロックのIBITだった。 米証券取引委員会(SEC)に提出される株式保有報告書「フォーム13F」は全体像を伝えておらず、投資した理由についての洞察は与えてくれない点を認識することが重要だ。 これらの投資すべてが長期的なものであったり、ビットコイン価格の上昇に左右される投資であるわけではない。一部は間違いなく取引会社のマーケットメイキング事業によるもので、誰かの取引の相手側として行動できるようにポジションが保持され、その後すぐに清算される可能性が高い。 また、この提出書類は過去にさかのぼったものであり、3月31日に保有ポジションが公開されるまでに、投資が追加されたり、減らされたり、完全に逆転しているかもしれない。ビットコイン価格は3月に史上最高値を記録して以来下落しており、それが投資を減らす理由になっている可能性がある。 最大の驚きは、年金基金が関与していたことかもしれない。年金業界はリスクを嫌い、官僚主義がビットコインETFのような新しいもの(ビットコイン自体は15年前のものだが)を受け入れることを妨げる可能性があるからだ。 保険大手のマサチューセッツ・ミューチュアル(Massachusetts Mutual)が2020年、1億ドル相当のビットコインを購入し、暗号資産取引とカストディを手がけるNYDIGに資本参加したことから、業界は競合他社が同様の動きで追随することを期待したが、実際には大きな動きにはならなかった。 多くの年金基金がウィスコンシン州のあとに続くことは時間がかかるかもしれないが、ビットコインETFの登場により、投資はより簡単になった。 ビットコインを直接購入し、それを安全に保有する方法を見定める代わりに、投資家(規模を問わず)は単にビットコインを保有するETFを購入するだけでよい。ETFは通常の株式と同様に取引され、カストディなどの管理上の懸念はあったとしても最小限、あるいはほぼ存在しない。 「年金基金は通常、非常に厳格なデューデリジェンスプロセスを経るため、新しい投資、特に新興の資産クラスへの投資を決定する際には時間がかかることがある」と、ETFストア(ETF Store)のネイト・ジェラチ(Nate Geraci)社長は述べた。 ETFの発売からわずか数カ月でウィスコンシン州の投資委員会から投資があったことは、その規模の機関投資家がこれらのファンドの仕組みや流動性にすぐに安心感を感じられることを示しているとジェラチ氏は指摘した。