米年金基金がビットコイン採用──保守的なプロにも長期的展望への期待高まる
「需要の波」
「より多くの年金基金が追随すると見込まれるが、それは一夜にして起こることではなく、徐々に需要の波が押し寄せてくるだろう」とジェラチ氏。 ビットコインETFの発行元の一つであるヴァンエック(VanEck)のデジタル資産部門責任者であるカイル・ダクルーズ(Kyle DaCruz)氏は、最近の動きは年金基金がデジタル資産への投資に違和感を感じていないことを示していると述べた。 「私の推測では、年金基金や機関投資家がより早く安心して投資できるようになるのは確かだが、最初は比較的少数だろう」とダクルーズ氏は語った。 ウィスコンシン州投資委員会の担当者はコメントを控えた。 年金基金は、法律で「大きな損失のリスクを最小限に抑える」ことを義務付けられているため、業界で最もリスク回避的な投資家と見なされている。そのため、最もリスクの高い資産のひとつであるデジタル資産は通常、年金基金にとって優れた投資対象とは考えられていない。 これは、投資大手のバンガード(Vanguard)が顧客にビットコインETFを提供していない理由のひとつでもある。同社は、デジタル資産が年金基金のような長期ポートフォリオに適さないと考えている。 ブラックロックの元ETF責任者サミル・ラムジ(Samil Ramji)氏がバンガードのCEOに任命されたという5月14日のニュースを受けて、バンガードが暗号資産に対するスタンスを変えるかもしれないという噂が流れた。 しかしラムジ氏は15日、Barron’sのインタビューで、ビットコインETFをローンチしないというバンガードの決定を覆すつもりはないと述べた。 「舞台裏では、このような大きな金融機関の多くの投資委員会が、ビットコインへの資金配分の承認を得るために動いていると思う。しかし、こうした承認プロセスは一夜にして行われるものではなく、機関投資家によるビットコインの採用が完全に行われるには数カ月、場合によっては数年かかることになる。だが明らかに起こっている」とセブン・シーズ・キャピタル(Seven Seas Capital)の最高執行責任者(COO)であるステファニー・ヴォーン(Samil Ramji)氏は述べた。 「確かに今回は違う。連邦政府だけでなく、ブラックロックやフィデリティのような巨大企業からも承認されたことで、形勢は一変した」と、ヴォーン氏は語った。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Shutterstock|原文:As a Pension Embraces Bitcoin, Hope Grows for Cryptocurrency's Long-Term Prospects Even Among Conservative Pros※編集部より:タイトルを一部修正し、更新しました。
CoinDesk Japan 編集部