1万円超の「おもちゃ」なぜ売れる? “完全シークレット”を貫いたメーカーの葛藤、子ども惹きつけた“玩具を愛でる”という原点回帰
11月も半ばとなり、そろそろ子どもへのクリスマスプレゼントはどうしようか…と頭を悩ませる親御さんも多いだろう。そんな中、10月の発売まで完全シークレットで、予約すら受け付けなかったあるおもちゃが、ここに来て躍進しているという。世界で大ヒットしたシリーズの新作『うまれて!ウーモ アライブ』だ。ただ愛でるだけ、というおもちゃとは一線を画し、子どもの心に大きな影響を与えそうな本作。「おもちゃ業界では珍しい」「特殊な売れ方」だという本作について、タカラトミーに話を聞いた。 【画像】たまごから孵化!? かわよ…ウーモの中身はコレ! ■『君たちはどう生きるか』的な試み? 『おもちゃショー』でもメディアにも秘密のおもちゃ おもちゃ業界にとって、1年のうちでもっとも力を入れるのが12月。クリスマスを見据え、8月末から行われた国内最大規模の玩具展示会『東京おもちゃショー2024』でも、全国の関連企業がさまざまな商品を展示していた。『おもちゃショー』はメディアや流通・販売業者はもちろん、一般客も入場できるとあって、展示ブースは各社が力を入れまくり。いかに自社商品をわかりやすく、魅力的にアピールできるかを競うように、デジタルからアナログ、知育玩具まで、豪華なブースが並んでいた。 おもちゃメーカー大手、タカラトミーのブースもいわずもがな。ロングセラー商品からロボット玩具、液晶を使ったトレンド商品も並ぶ。だが、ブース最奥に鎮座していた“たまご”は謎だった。おもちゃとしては“中身”がメインになるだろうに、殻に覆われたたまごからは微塵もそれが見えない。 実はこれ、『うまれて!ウーモ』という過去にも大ヒットした商品だったわけだが、担当者に聞くと「発売まではシークレットです」とのこと。せっかくの大々的なお披露目の場なのに、しかもヒットシリーズ新作なのに…そんな悠長なことして大丈夫? という疑問が残った。もしかして、公開前まで事前情報がほぼシークレットだった『君たちはどう生きるか』的な展開を期待して? そもそも、『うまれて!ウーモ』とは、カナダのスピンマスター社が2016年に発売した玩具。日本でも同年からタカラトミーが販売しており、世界累計販売個数は1,420万個を突破している大人気シリーズだ。たまごをお世話することで、中にいるウーモが孵化する瞬間に立ち会えることから、「誕生の瞬間の感動を味わえる」「親になったような気持ち」など人気を呼んできた。今回は、5年ぶりの新作が10月4日に発売されたわけだが、その日までは『おもちゃショー』はおろか、自社HPやメディア、販売店でも詳細を明かさず、予約すら募らなかったという。