1万円超の「おもちゃ」なぜ売れる? “完全シークレット”を貫いたメーカーの葛藤、子ども惹きつけた“玩具を愛でる”という原点回帰
■デジタル全盛でおもちゃにも変化、ウーモで得る感動は唯一無二かつ原点回帰
このように、「生まれるまでの楽しみ」と「生まれる瞬間のドキドキ、ワクワク」があることによって、生まれた後にウーモを慈しむ気持ちが増すことも、大きな特徴だろう。 昔から、人形やぬいぐるみを使った“ごっこ遊び”はあったが、通常は長い時間をかけて遊ぶことで愛着が増していくもの。しかしウーモの場合は、「たまごから愛情を注ぎ、誕生に立ち会い初めて目を合わせた瞬間に何かが芽生え、より愛おしさが増すのだと思います」と武田さんも語る。 その意味では、物も情報も溢れ、昔のように子どもが一つのおもちゃを大切にし、愛情を注ぎ続ける行為が希薄になっている現代において、ウーモは原点回帰のおもちゃとも言えるかもしれない。 「生命誕生の場に立ち会うことは、そうそうありません。特にデジタル機器に慣れた今の子どもたちにとって、リアルに目の前で起こる体験はインパクトがあると思います。それを目の当たりにし、家族が増えたような感覚になるという点においても、ウーモは従来のおもちゃのステージを超えるものなのではないかと。それは大人も同じで、実演イベントではご家族も子どもと同じ目線で楽しみ、感動してくれていて。子どもの変化や成長を発見しながら、家族一緒に体験価値を共有してもらえたと思います」(武田さん) 芽生えたウーモへの愛情を大切に育むべく、生まれた後も長く遊べる工夫が施されていることも最新作の特徴だ。 「ごはんを食べてゲップをしたり、おならをしたり、大人もクスッと笑ってしまうようなリアルな動作が入っています。また、『いないいないばぁっ!』やおしゃべりも。そんなコミュニケーションがとれることも、お子さんから良い反響を得ています」(荒川さん) 外国製のキャラクターというと、日本の“カワイイ”とはひと味違うビジュアルであることも多いが、最新ウーモは目がクリクリの二頭身。これまでのウーモを知っていた人たちからも、「予想以上に可愛くなっている」と高評価なのだそう。 「日本の有名なキャラクターたちが世界で活躍していることからも、どんどん外国と日本のおもちゃのビジュアルの垣根はなくなっているのかもしれませんね」(武田さん) モノよりコト消費が注目されている昨今。ウーモはモノでありつつコトも体験できることが、大きな違いなのかもしれない。 (文:河上いつ子)