米国初の女性大統領誕生か…「カマラ・ハリス」の知られざる《10の原点》両親は離婚、シングルマザーの家庭で育った「超絶エリート」の意外な素顔
9:史上初の女性副大統領に BLM運動が追い風
カマラは、家族の支援と妹マヤの指揮のもと、2020年の大統領選に向けて精力的な選挙活動を展開。彼女はトランプ大統領の政策を批判し、多くの支持を集めた。 しかし、支持率が伸び悩み、2019年12月には資金不足を理由に選挙戦から撤退することを決断。撤退の際には、「バイデン候補を支持し、応援する」と表明し、将来の副大統領候補としての可能性を残した。 その後、全米で「ブラック・ライヴズ・マター(BLM)」運動が拡大し、カマラは、トランプ大統領がデモを軍隊で鎮圧しようとしたことを「軽率で乱暴だ」と強く非難した。 ※BLM運動…アフリカ系アメリカ人のコミュニティに端を発した黒人に対する暴力や人種差別に抗議する運動のこと。 彼女は他の民主党議員とともに、警察改革法案を作成。警官による容疑者の首絞め行為の禁止、ボディカメラの装着義務、違法行為が見られた警察署への独立機関による調査の推進を提案した。 2020年6月、バイデンが民主党の大統領候補に確定すると、カマラは副大統領候補として最も注目される存在となった。 マスコミは「黒人層の支持が鍵」と報じ、バイデン陣営が有色人種の女性をランニングメイトに指名する可能性が高まる中、カマラに追い風が吹き、8月18日民主党がバイデン氏を正式に大統領候補に指名。 その翌日、バイデン氏は、カマラを副大統領候補(ランニングメイト)に指名。長く苦しい選挙戦の上、史上初の女性副大統領となった。
10:勝負アイテムは“パール”
パールのネックレスは、コンバースのスニーカーとともに、カマラのトレードマークだ。そして、特別強い意思を示すべき場面では、ブラックパールのネックレス姿で現れ、その姿は注目を集めている。 パールは母校ハワード大学女子学生AKAの象徴だ。AKAは、“20粒のパール”と呼ばれる9人の女性グループが創設し、メンバーになると20粒のパールをあしらったバッジが与えられる。カマラはパールのネックレスを身につけることによって、同級生たちに繋がりと支持を求めているのだ。 そして、カマラは白・黒のパールのネックレスを上手く使いこなす。とりわけブラックパールを身に纏うのは、2020年バイデン大統領候補から副大統領候補に指名されときや、米大統領候補への立候補を表明したときなど、カマラの人生における重要な場面だ。 ブラックパールはかつてパールの中でも奇異な種類として遠ざけられていた。ちょうど白人社会で黒人が差別されてきたように。だが、現在は貴重な装飾品として尊ばれている。 カマラはブラックパールを身につけることにより、黒人としての誇りと闘志を強く訴えているのだ。今回の大統領選でも必ずや、ブラックパールに守られたハリス候補の姿に出会えるにちがいない。 <構成・文/荒井橙子>
岡田 好惠(英仏翻訳者、ライター)