スマートフォン市場の中でも特殊な"立ち位置”、京セラが「タフネス特化」で成熟したスマホ市場に挑む、TORQUEブランドに問われる真価
例えば、1メートル四方のボックス内で端末を500回連続で落下させる「タンブル試験」や、尖った金属片を落とす「金属落下試験」を実施。さらに、2メートルの高さからアスファルトに落とす試験も行っている。これは中型トラックのダッシュボードや大型車の座席からの落下を想定したものだ。 耐久性テストの項目は世代を重ねるごとに増やしており、G06では29項目もの試験をクリアするなど、ハードウェア面での「タフネス」を継続的に強化している。
公式の試験項目には含まれないが、よりハードな試験も行っているという。非公式ながら「車で轢く試験」まで実施し、その耐久性を確かめている。また、北海道の北見工場では、厳冬期に雪の中に端末を突っ込む試験も行われている。マイナス21度からプラス60度という過酷な動作環境に耐える性能を保証するためだ。 しかし、現状はスマートフォン全体の耐久性向上が進んでいて、単純な「強さ」だけでは差別化が難しくなってきている。
「我々の考えるラグは高耐久でしたが、それを使っていくユーザー様にとっては、やはりこのラグ、高耐久だけでは物足りない」と京セラ通信機器事業本部の伊東恭弘氏は語る。この認識から生まれたのが、新たな「タフネス」というコンセプトだ。 ■信頼できる頼もしいパートナーへ タフネスは、従来の高耐久性に加え、持続性、秘匿性、特殊性といった多面的な強靭さを包含する。具体的には、長時間のバッテリー持ち、高度なセキュリティ機能、特殊環境下での使用能力などが含まれる。
「単純にタフといっても、精神的なタフさもあれば、肉体的なタフさもあります」と伊東氏は説明する。この新しいコンセプトは、TORQUEを単なる「壊れにくいスマートフォン」から、あらゆる面で「信頼できる頼もしいパートナー」へと進化させる狙いがある。 ソフトウェアや設計面でも独自性を追求しており、G04からは専用の「TORQUEフォント」を採用し、ブランドの世界観を強化している。アクセサリー開発にも注力し、アウトドアでの使用を想定した浮き具付きケースなど、タフネススマホならではの周辺機器を展開。外箱のパッケージデザインにもこだわり、所有する満足感を高めている。