急激な利上げは考えられない、財政への影響も勘案-国民民主・古川氏
円安による輸入物価の上昇が企業業績や家計負担の重しになっている。古川氏は円安の要因には、日米金利差に加え、人口減少や生産性の伸び悩みなどによる国力低下があると述べた。日銀の低金利政策が為替に及ぼす影響は、米側の動向も関係するため「限定的なところがある」と指摘した。
103万円の壁
経済対策には国民が求めた所得税が発生する「年収103万円の壁」の引き上げが明記され、同党は年末の税制改正に向け、与党との政策協議を続けている。
20日には与党側に対し、所得税の基礎控除などを178万円に引き上げることに加え、大学生らを扶養する親の所得から一定額を差し引き税負担を軽くする「特定扶養控除」の年収要件引き上げ、ガソリン減税を最重点とする要望を提出した。28日に再度3党協議を行う予定だ。
古川氏は特に今は「デフレに逆戻りするリスクが高まってる」と分析。消費者の節約志向は根強く、物価上昇を超える実質賃金の上昇が実現するまであらゆる手段を使って少しでも手取りを増やすことが必要だと、基礎控除拡大の重要性を訴えた。
また古川氏は、「賃上げと投資がけん引する成長型経済」に移行できるかどうかの分岐点にあることを強調した。仮にデフレに戻った場合、円安が進行した中では再び異次元の金融緩和政策を実施できる状況にはないとも語った。
一方、「年収の壁」引き上げは所得税の恒久減税となる。政府は仮に基礎控除の額を国・地方で75万円ずつ引き上げた場合に「7兆円から8兆円程度の減収」が見込まれると試算。財政を悪化させないためには代替財源が必要だが、古川氏は、あくまでも野党の立場で税制改正協議に参加するため「税制や予算全体について議論する訳ではない」と述べ、政府・与党に検討を委ねる考えを示した。
経済財政運営全般に関しては、デフレに逆戻りさせないため積極財政を支持する姿勢で、「必要であれば国債の発行もそれは否定するものではない」とも強調した。