トランプ支持者の興奮と期待…大越が行く“決戦の地”ペンシルベニア州
■大統領選 大越が見た“決戦の地”
◆首都ワシントンにいる大越キャスターに聞きます。 (Q.大統領選の取材を各地で続けてきましたが、トランプ氏本人の集会を取材してどう感じましたか) 大越健介キャスター 「演説会場の列に並んで、5時間以上、待って、ようやく始まった演説は、得意のジョークは満載ですが、半分以上はハリス氏やメディアに対する悪口や皮肉で占められていて、さすがに90分もの演説時間は、正直、長いなと感じました。そして、気になったのが、前回4年前の選挙について、『自分は勝っていたのに票を盗まれたのだ』と、またも繰り返した挙句に、『今回も、すでに郵便投票で不正が起きている』と主張していたことでした。大接戦の今回の選挙、仮に敗北という結果が出たとしても、それはインチキが行われていたからだと言い張るための伏線ではないかと疑わしく思いました。もし、そうなれば、またも支持者の暴力沙汰に発展してしまいかねない。このワシントンの町がピリピリしているのもうなずけるなと思いました」 (Q.物価高やインフレに苦しむ人が多かったのが印象的でしたが、勝敗を分けるとされるペンシルベニア州。実際に取材してどう感じましたか) 大越健介キャスター 「象徴的な激戦地といわれるエリー郡ですが、まさに最激戦地ということで訪れましたが、さびれた街並みは、選挙戦の熱気とは、どこか縁遠い印象を受けました。失業者の増加や物価高によって、食料の無料配給所が発足した4年前から、利用者は増え続けているとのことでした。利用者の多くが『貧富の差はどんどん大きくなっている』と話していて、『政治に期待するものがあるとしたら、逆に知りたいくらいだ』と投げやりに話す人もいました。どの候補者の理念に賛同するかという思想的な分断とはまた違った、経済格差による分断は、さらなる深刻さをはらんでいると思います」 (Q.あす投開票ですが、1週間の取材を通して、一番、強く感じたことは何でしょうか) 大越健介キャスター 「大都市でも、ひなびた小さな町を取材しても、自分たちの1票でリーダーを選ぶのだという強い意志を持つ市民が大勢いて、民主主義の大国、アメリカはさすがだなと思いました。ただ、異なる意見も尊重するという寛容さが薄れてきているのも、また事実でした。そして、トランプ氏の演説を取材するなかで、『地球温暖化なんて絵空事だ』と主張するのを聞くと、トランプ氏が大統領になれば、この型破りの人物の言葉が再び世界を面食らわせて、いわゆる西側諸国の結束の足かせになるのは避けられないのではないかと感じました。一方、ハリス氏が大統領になっても、民主党を敵視するトランプ支持者が相当数いるなかで、強いリーダーシップは当面、期待できないかもしれません。中国が威圧感を強め、ロシアが暴挙を続ける世界にあって、足元のおぼつかない超大国アメリカと、同盟国である日本のような国が、どう関わって、国際秩序を保っていくかの。時代が不確実性を増していくのは、ほぼ間違いないと感じた今回の取材でした」
テレビ朝日