なぜ女子ジャンプ日本のエース高梨沙羅はメダルに届かず4位に終わったのか…荒れた風と不完全なテレマーク
スキージャンプの女子個人ノーマルヒルが5日、張家口・国家スキージャンプセンターで行われ、悲願の金メダルを狙った高梨沙羅(25、クラレ)は1回目98.5m、2回目に100mの大ジャンプを見せたが計224.1点で銅メダルを獲得したニカ・クリジュナル(21、スロベニア)に7.9ポイント届かず4位に終わった。ソチ五輪で4位、平昌五輪で銅メダルと順位を上げてきたが、2大会連続のメダル獲得とはならなかった。金メダルは1回目に108mの最長不倒をマークしたウルシャ・ボガタイ(26、スロベニア)、銀メダルはカタリナ・アルトハウス(25、ドイツ)が2大会連続で獲得した。勝敗を分けたのは荒れた風と課題としていた着地姿勢だった。
「いろんな感情が混沌としている」
目に涙が浮かんだ。 悲願の金メダルを手にすることができず、7.9ポイント差で2大会連続のメダルも逃した。それでも高梨は気丈に「今まで戦ってきたみんなとここ(五輪)に立つことができてうれしい気持ちもありますし、メダルを獲得した選手の皆さんには本当におめでとうという気持ち」と、メダリストへリスペクトの言葉を残し「すごくいろんな感情が自分の中で混沌としていて言葉にするのがとても難しい状態」と続けた。 どのようにして飛べばいいのか…高梨に迷いが生じていたように見えた。 1本目。実に丁寧に飛び出したが、ほどよい向かい風がこなかった。K点に設定されていた95mは越えたが、そこから先が伸びない。メダル獲得に向けての目安としていた100.mに届かず98.5m。しかも、課題の着地で両足が揃い、テレマークも不完全なまま。60点満点の「飛型点」で50.0点しか獲得することができなかった。 北京入りしてからの公式トレーニングでは104mなどロングな飛距離を連発していた。だが、国家スキージャンプセンターの風は、赤ランプが何度も点滅してスタートの仕切り直しを余儀なくされる選手が連発、ゲートの位置も下がるなど、きまぐれに荒れていた。隣のラージヒルのジャンプ台側からの横風も吹いていた。高梨は、その荒れた風を心のどこかで気にしすぎて、こぢんまりとした”守りのジャンプ”になってしまった。