たとえば映画をお手本に。
バキバキに決めすぎないナチュラルオールバック。
実在した銀行強盗のデリンジャーは、その気高き存在感に魅せられた女性からの人気が高かったという。色気が漂う髪型も人気に一役買っていたに違いない。「彼はサイドとバックをほんのり刈り上げたオールバックで、バキバキになでつけてないのがいいですね。崩れてもカッコいいので、ソフトなポマードやワックスでセットするのがお勧め。前髪は長めなので、崩れると分かれてしまうかもしれませんが、劇中のデリンジャーのように気にせず手ぐしで直すくらいで」
長めで素朴なアイビーカット。
全体的に短く切り、トップを横に流す髪型は、アイビーリーグに所属する学生たちの定番であることから、アイビーカットと呼ばれる。本作におけるレイモンドもその系譜に当たると島田さん。「本来はもう少し短いので、長めのアイビーカットと言うべきでしょうが、くせを自然に生かした横分けにグッときます。なので、プレジデンシャルカットのようにツヤを出してなでつけるのではなく、ワックスやクリームなどで、あくまでさらっとセットするといいムードなんです」
モダンで重たいボブヘア。
シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』を現代に置き換えた本作では、ロミオの髪型もモダンなボブヘア。この髪型のポイントは前髪の長さにあるようだ。「耳の上あたりから前髪の中心に向かって下がっていく、つまり前下がりの形。ロミオを演じたレオナルド・ディカプリオの髪は重めなのが特徴なので、すきすぎるとこの感じは出ません。かきあげた髪が落ちてくる。それをまたかきあげる。その仕草も込みでこの髪型としたいところです」 ロミオ&ジュリエット
薄毛でも雰囲気が出るベリーショート。
「アジアでは薄毛をネガティブに捉える価値観の人が多い気がしますが、映画の中の髪型は、そんなことはないんだと教えてくれもします」と島田さん。その好例として推すのが本作のエンゾだ。たしかに、額は広い。「トップを、サイドより若干長めにしたベリーショートで、ひげとサイドが同じ長さでつながっているのもいい。サイドよりひげのほうが長いと悪目立ちするケースもあるので。これはフロントだけでなくトップが薄くなっても清潔感を失わない髪型です」