新旧ロードスターを乗り比べ! 大規模マイチェンでどう変わった?
モータージャーナリストの吉田 匠が、古今東西のスポーツカーとクラシックカーについて解説する人気連載コラム。第21回は、今年1月にマイナーチェンジを受けたマツダNDロードスターに試乗。先代990Sと新型SのVセレクションを乗り比べる。 【写真】新旧ロードスターを見比べる!(全25枚)
新型ロードスター、進化のポイント
本名ユーノス・ロードスター、輸出名マツダMX-5として、型式名NAロードスターが世に出たのは1989年のこと。それからNB、NC、NDと3回フルモデルチェンジしたが、すでにNB時代の2000年に累計53万1890台を生産して、「世界でも最も多く生産された2人乗り小型オープンスポーツカー」として、ギネスから表彰されている。初代の登場から数えて35年後の現在のモデルはNDだが、そのNDもNCからモデルチェンジしたのは2015年のことだから、今年すでに9年目のロングランモデルになる。 そのNDロードスターが今年2024年、新型にマイナーチェンジした。デビューから9年ぶりのマイナーチェンジ、その最大の理由は意外なところにあった。車載コンピューターがハッキングされるのを防ぐため、全モデルのコンピューターをサイバー基本法という取り決めに沿った最新仕様に変更する必要があったからだ。ただし、さすがはロードスターのマツダ、変更をそれだけで済ますことはなかった。同時に、スポーツカーの命であるドライビング感覚を研ぎ覚まさせることを主眼とする、数々の変更を施したのだった。 まずエンジン関連では、セッテイングを国内のハイオクガソリンに合わせたことによって高回転域でのパワーが向上、トップエンドの7000rpmでは3kWの出力向上を達成したというのが主要ポイント。それに加えて、中回転域でのレスポンスも向上させているという。だが、それ以上にマツダの気合いを感じさせるのが、シャシー領域の改良である。それは、電動パワーステアリングの進化、アシンメトリックLSDの採用、モータースポーツ用DSC制御、DSC-TRACKの追加の3項目に及び、それらによって、ロードスターの持ち味といえるドライビングプレジャーを、さらに一段と磨き込もうというわけだ。