トム・ブラウンみちお、「M-1グランプリ2024」決勝戦は「リズムが大事」!?
アニメ作品を彩る構成要素の一つであり、欠かすことのできない"劇伴"。 アニメ大好きのみちお(トム・ブラウン)と、劇伴作家・関美奈子(代表作『ブラッククローバー』『キングダム』など)、劇伴作家・林ゆうき(代表作『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』『ポケットモンスター』『SAKAMOTO DAYS』など)にインタビュー! 【動画】全アニメファンに捧ぐ!劇伴を掘り下げる番組「GKIBANG」
「劇伴は単なるBGMではなく、映像と共に高め合うもの」(林)
――アニメファンの間でも"劇伴"という言葉が徐々に浸透し、林さんは劇伴が主役の音楽フェス「京伴祭」の発起人でもあります。今年9月に京都劇場で行われた「京伴祭 -KYOTO SOUNDTRACK FESTIVAL- 2024」も大盛況でしたが、魅力はどこにあると思いますか? 林「日本の劇伴は単なるBGMではなく、起承転結があり、音楽として完結しています。そのため、ライブで生演奏するととても聞き応えがあると思います。普段、僕たちは映像に対して音楽を当てていくのですが、ライブでは僕たちの音楽に映像を当てるという、逆の形をとっています。これは今までになかったアプローチで、海外でもきっと評価されると思います。"大人の修学旅行"のように、作曲家の仲間たちと一緒に世界を巡りたいという夢があるので、日本でこういったライブを続けて、最終的には世界ツアーを実現したいです」 関「昔は劇伴が”劇の伴奏音楽”と言われ、歌物や他の独立した音楽作品よりも少し下に見られていた時代もあり、劇伴という言葉自体も、今のように浸透していませんでした。私は90年代の人間なので、”劇伴”ではなく"サウンドトラック"と言っていた時期もありましたが、それを林さんに話したら、『なんで? 劇伴って言葉の方がかっこいいじゃん!』と。そこで初めて『劇伴って、ジャンルとしてちゃんと成り立っているんだ!』と気づいたんです」 林「濁点が多い方がカッコいいですからね(笑)。僕らがいつも思っているのは、劇伴は単に映像を引き立てるためだけに存在するわけではなく、映像と共に高め合うものだということ。映像と音楽が一体となって、互いに力を引き出し合う。それが理想的な劇伴の在り方だと思って、日々作っています」 ――劇伴作家陣の話を聞き、劇伴について学んだみちおさん。アニメの見方は変わりましたか? みちお「劇伴について学んだ後でそのシーンを見ると、改めて『こんなにカッコいいんだ!』と感じました。例えば、怖いシーンに明るいBGMを合わせることで不気味さが増したり、明るいシーンに不穏なBGMを流すことで色々な想像をさせたり…。音楽がどれだけ映像に影響を与えるのかを知り、アニメを見る楽しさが倍増しました」 ――『M-1グランプリ2024』決勝戦にも生かせる部分はありましたか? 「僕らの漫才は、『打ち込みのようだ』と言われることもあるくらい、リズムが大事なんです。M-1ラストイヤーに決勝戦に残れたので、今日得た知識や感覚を生かして頑張りました!」 ――新体操選手から劇伴作曲家に転身という、異色の経歴を持つ林さん。それまで音楽経験は無く、独学で作曲を始めたそうですね。 林「男子新体操の伴奏曲を作りたくて作曲を始めました。新体操の伴奏には競技特有のルールや曲調が求められ、それを理解しなければ作曲できませんが、僕はそのルールを把握しており、先生方との繋がりもあったので、それを生かして技術を磨こうと思いました。新体操の伴奏曲を作りながら、少しずつクラシック音楽やオーケストラについて学び、劇伴作家の道へ。今ではアシスタントも抱え、コンサートの準備などやるべきことは増え続けていますが、自分が本当に興味を持てることや、可能性を感じることに注力しています」 ――プライベートでは3児のお父さん。お子さんも音楽に興味を持っていますか? 「僕はピアノ教室に通っているのですが、長男も3歳頃から一緒に習っています。今では長女もそこに加わり、次女もそのうち始めるのではと思っています。ただ、2人ともすごく熱心というわけではなく、帰りにお菓子を買ってもらえるからついて来ているという感じです(笑)。 最近、長男がこっちのけんとさんの『はいよろこんで』を弾きたいと言い出して、難しいだろうなと思っていたら、ニコニコしながらノーミスで弾き切っちゃったんです。なかなかやるなぁと思いました」