トム・ブラウンみちお、「M-1グランプリ2024」決勝戦は「リズムが大事」!?
「作曲家の権利を守るためには、楽曲を特定するシステムの整備が重要」(関)
――関さんは音楽大学を卒業し、現在は音大の講師としても活躍中。若い世代の音楽への向き合い方に驚かされることはありますか? 関「DTMや機材が普及し、誰でも音楽を作れる時代です。ユニークな発想を持つ学生が増えた一方で、失敗を恐れる傾向も見受けられます。若いうちはどんどん挑戦して学ぶべきですし、私は学生たちに『失敗してもいいよ、助けるから』と伝えています。 また、新しい音楽に触れることで、私自身学ぶことも多いです。時々、学生が『この曲いいですよね』って林さんの曲を持ってくることもあり、内心『実は友達だよ』と思いながら、知らん顔して一緒に聴いています(笑)。彼らの目を通して学ぶこともたくさんあります」 ――「日本音楽著作権協会(JASRAC)」の理事としても活動されている関さん。インターネット配信やサブスクの普及など、音楽業界の環境も大きく変化していますが、作曲家の権利についてどのようにお考えですか? 関「作曲家の権利を守るためには、使用された楽曲を特定するシステムを、より整備することが重要だと考えています。音楽が使用された分の使用料を、作曲家に正しく分配する仕組みを更に強化したいと思っています。 例えば、JASRACと提携している著作権管理団体が存在する国では使用料を集めることができますが、そのような団体が存在しない国では、音楽が使われても何もできません。また、YouTubeやNetflixでは比較的スムーズに収益が入ってきますが、まだ課題が残るプラットフォームも存在しています。 JASRACでの活動においては、実際に現場で活動している作家の意見を上層部に届けることも私の役割の一つだと思っています。作家目線でJASRACの役に立てたらと思っています」
――みちおさんは、最近どんなアニメにハマりましたか? みちお「今年一番ハマったのは、『シャングリラ・フロンティア』です。ゲームの配信を観ているような新感覚のアニメで、本当に面白いんです。他にも、『Re:ゼロから始める異世界生活』や『葬送のフリーレン』など、今年話題の作品をたくさん見ました」 ――2025年にやりたいことや、目標を教えてください。 関「実は、演奏したいと思っています。これまで一人で演奏したり、人に呼ばれてちょっと弾いたりすることはありましたが、バンドや他の人と一緒に演奏する機会がなかったんです。林さんともぜひご一緒したいです」 林「やりましょう! 来年も『京伴祭』を開催したいですし、自分のコンサートもやりたいです。僕の好きな言葉に『大人が本気で遊ぶと、それが仕事になる』というものがあって、僕たちは本当に楽しんで作っているので、来年も健康に続けられたらいいなと思っています」 みちお「僕は曲を作ってみたいと思っています。絵を描いたり、小説を書いたりはしてきましたが、音楽はリズム感がないからと避けてきたんです。でも、林さんが独学で作曲をされたのを知って、自分も挑戦してみたいと思いました。簡単なメロディから作ってみようと思います」 【みちお(トム・ブラウン) プロフィール】 1984年12月29日生まれ。北海道出身。 高校時代の先輩である布川ひろきとトム・ブラウンを結成。「M-1グランプリ2018」決勝に進出し、その特異な芸風で注目を集める。オールナイトニッポンPODCAST「トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画」毎週金曜日配信中。誰でも考えたくなる「正解の無いクイズ」(テレ東)、「道産人間オズブラウン」(札幌テレビ)に出演中。 【関美奈子 プロフィール】 1973年1月28日生まれ。東京都出身。 東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、同大学を経て、同大学院修士課程修了。ゲーム会社に勤務後、フリーランスとなりアニメ、ゲーム、ドキュメンタリー、報道番組などの音楽制作に携わる。インストゥルメンタルやオーケストラサウンドに加え、エレクトロニック、ロック、メタル、民族音楽など、さまざまなジャンルを取り入れた作品を手掛ける。近年は音大教員や職能団体役員としても活動する。 【林ゆうき プロフィール】 1980年生まれ。京都府出身。 元男子新体操選手。競技者としての音楽の選曲から伴奏音楽の世界へ傾倒。音楽経験は無かったが、大学在学中に独学で作曲活動を始める。 大学卒業後、hideo kobayashiにトラックメイキングの基礎を学び、競技系ダンス全般の伴奏音楽制作を本格的に開始。さまざまなジャンルの音楽を取り込み、元踊り手としての感覚から、映像との一体感に重きを置く、独自の音楽性を築く。 (取材・文/みやざわあさみ)