高川学園が8強進出…なぜ世界を驚かせた奇想天外な”グルグル円陣FK”が誕生したのか?
勝利の余韻が残る試合後のオンライン会見。いまや世界中が注目する奇想天外なセットプレーに対して、高川学園の江本監督はこう言及している。 「今日もいろいろと準備はしていましたが、セットプレーの機会が少なかったし、いい位置で得られなかったのでやりづらい部分もありました。ただ、相手もすごく警戒していると思ったので、逆にオーソドックスな形でもよかったのかなと」 最初に獲得したセットプレーは前半アディショナルタイム。右コーナーキックに対して5人が輪を作って回り始めたなかで、ショートコーナーが選択された。チャンスには結びつかなかったが、警戒される状況を見越してあえて“囮”に使った。 後半34分の右コーナーキックはオーソドックスな形で攻めた。4分後に再び獲得した右コーナーキックでは、一転してペナルティーアーク付近に林を先頭に4人が縦に並び、肩に手を当てたトレイン状態から散開して仙台育英のゴールに迫った。 昨年大晦日の岡山学芸館との2回戦を振り返れば、1-1で迎えた後半20分にバージョンアップさせた“グルグル円陣作戦”を発動させ、決勝点をもぎ取っている。 敵陣の左サイドで獲得した直接フリーキックに対して、3人一組の輪を2つ形成し、相手ゴール前で同時に回転させた直後に散開した。ボールは右サイドへ流れたものの、林が折り返したクロスをFW中山桂吾(3年)が豪快に頭を合わせた。 数時間後に更新された高川学園サッカー部の公式ツイッター(@takagawasoccer)には、こんなつぶやきが投稿されている。 「開催中の第100回全国高校サッカー選手権大会で、強化部や選手たちが考えた『トルメンタ』で点を取り、1回戦・2回戦を突破することができました!」 メディアで“グルグル円陣作戦”と呼ばれていたトリッキーなセットプレーは、スペイン語で「嵐」や「旋風」を意味する『トルメンタ』とサッカー部内で命名されていた。ツイッターへはさらに、こんなつぶやきも連投されている。 「これからも自分たちで色々なアイデアを出し、勝利に繋げられるように取り組んでいこうと思います」 つぶやきの通りに『トルメンタ』は選手主導で生まれた。 「県大会で話し合って決めたもので、意外に全国でもはまってよかったです」