中古不動産投資の主流「オーナーチェンジ」だが…物件選びで見落としがちな「落とし穴」
投資対象として間違いないか判断できる「エビデンス」が重要
自分自身が住む家として購入する物件では、このようなインスペクションで建物の劣化状況を調べ、見つかった瑕疵の補修を行うことが増えていますが、賃貸不動産の取引においてはオーナーチェンジのために室内を確認することができません。 壁紙の後ろで過去の漏水跡が隠れていたというケースも10件に1件の頻度で起こっており、そのような瑕疵をそのまま放置してしまうと建物の劣化スピードが早まることはもちろん、ほかの部屋へのトラブルに発展した場合は巨額の負担を免れない可能性も出てきます。 国土交通省が推し進める、長期優良住宅や住宅性能表示、瑕疵保険、インスペクション、住宅履歴等の住宅の性能の確保や客観的な評価に係る各種制度を整備し、良質な住宅ストックの活用を図るための「住宅ストック維持・向上促進事業」においても約70団体ほどが採択されています。しかし、賃貸不動産の調査や適正な評価における取り組みは少ない実情です。 投資用としての資産運用のパフォーマンスを最大限に引き上げるだけでなく、自分自身の資産を守るためにも、まずは購入する不動産においては表面的な賃料や利回りだけでなく、過去の取引事例、管理活動の履歴、修繕およびリノベーション工事の内容、専有部および共有部の瑕疵など、とことん物件を調べ上げることが重要です。 参考 ※⼀般財団法⼈住宅改良開発公社賃貸住宅市場の動向と将来予測(展望)調査より https://www.kairyoukousya.or.jp/wp-content/uploads/2021/05/2020_syouraiyosoku.pdf 挽地裕介 リノベーションバリューデザイン協議会 代表理事 REISM株式会社 取締役
挽地 裕介