覇権アニメ最有力の『ダンダダン』をレビュー! こういうのが見たかった……俺たちの本能(リピドー)をぶち上げる快作アニメが登場!【アマプラおすすめアニメレビュー】
『ダンダダン』をレビュー:そういえば少年漫画ってギャル率が高い!
『ダンダダン』のヒロイン・モモがギャルでセクシーであるというのも伝統的な少年漫画のマナーという印象で、良い意味でノスタルジックな気分になりました。『ドラゴンボール』のブルマや『ワンピース』のナミ、『呪術廻戦』の釘崎野薔薇、『チェンソーマン』のパワーなど枚挙に暇がありませんが、少年漫画には内面がたくましいギャル風のヒロインが数多く存在し、いずれも高い人気を獲得しています。 第1話からセクシーシーンがある点は『ドラゴンボール』のブルマや『ナルト』で裸の女性に変化(へんげ)する場面などを思い起こさせるところもあり、初回から性的魅力を押し出すスタイルを踏襲する『ダンダダン』の第1話にはある種の懐かしさを覚えました。 また敵として登場するセルポ星人とターボババアが両者ともに、性的欲求でムラムラしているのも印象的でした。ただしそれは健康的な性欲ではなく、社会で闇を背負ってしまった病んだ大人が持つ歪んだ欲求という形で描かれており、その点も面白い要素でした。 特にセルポ星人はスーツを着た七三分けの営業マンという造形をしているため、宇宙船のシーンは見方によっては病んだ中年サラリーマンが少女を襲っているようにも解釈でき、妙なリアリティがあって非常に不気味です。ルールを守らないずる賢い存在として宇宙人や幽霊が登場することも少なくなく、こうした未確認存在が大人の歪みやケガレの象徴として描かれている印象を受けました。 こうした汚い大人の手口や欲望に、モモとオカルンの極めてピュアな「友情(もしくは愛情)」によって対抗していく図式でバトルが展開します。ピュアな子供VS汚れた大人の対立構造にすることで「やっぱり欲におぼれちゃダメだし、友情って大事だよね」というところを思い出させてくれるのも、まさに少年漫画的で素晴らしい点だと思います。一見すると野性的で過激な作風ですが、話の落としどころは倫理的なので安心して見られるという、ごちゃごちゃしているようで実はバランス感覚に優れた作品だと言えるかもしれません。
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