【管理栄養士が解説】あなたのその疲れ「鉄分不足」かも?不足しがちな鉄の効率的な摂り方は?
鉄はどう摂ればいい?
♦️ヘム鉄・非ヘム鉄の違い 鉄には2つの種類があり、吸収されやすさが異なります。植物性食品に含まれる鉄は「非ヘム鉄」と呼ばれ、動物性食品に含まれる鉄は「ヘム鉄」と呼ばれています。非ヘム鉄よりもヘム鉄のほうが吸収されやすいことがわかっています。また、ヘム鉄を利用することで、非ヘム鉄の吸収もよくなります。 ♦️吸収率の違い 鉄の吸収率は、食事から摂取したヘム鉄と非ヘム鉄の構成割合や吸収を妨げる栄養素や食品、鉄の必要状態によって異なります。日本人の食事摂取基準(2020年版)では、諸外国の報告を参考にし、妊婦を除き吸収率を15%として、それぞれの摂取基準の量を算出しています。 ♦️レバー以外にも!鉄が多く含まれる食品 鉄はおもに動物性食品に含まれています。中でも、鉄が貯蔵されているレバー(肝臓)類は、かなり多く含まれています。それ以外にも、赤身の肉にも豊富です。魚介類では、しじみやあさりなどの貝類、魚では赤身のかつおやまぐろに多く含まれます。 植物性食品では、のりなどの一部の海藻類にも多く、乾物なら少量でも鉄が摂れるので、摂取源として重宝します。野菜では大根の葉や小松菜、大豆製品では納豆や湯葉にも含まれています。 ♦️吸収率を上げるには? 鉄はビタミンCを一緒に摂ると吸収を助けてくれます。例えば、レモンやオレンジなどの果物、さつまいもやじゃがいもなどのいも類です。野菜では、ピーマンやブロッコリーなどに多く含まれています。 逆に鉄の吸収を妨げるものとして、食物繊維、豆類に多く含まれるフィチン酸、コーヒーや緑茶に多いタンニンという成分が知られています。しかし、これらは身体によい働きもあるので、摂りすぎに注意する程度で大丈夫。「一緒に食べてはいけない!」というものではありません。 【参考文献】 ・上西一弘:「栄養素の通になる第5版、女子栄養大学出版部」(2022) ・飯田薫子・寺本あい:「一生役立つ きちんとわかる栄養学」西東社(2019) ・厚生労働省:「鉄」e-ヘルスネット(閲覧日:2024年5月24日) ・厚生労働省:「令和元年国民健康・栄養調査報告」厚生労働省(閲覧日:2024年5月24日) ・厚生労働省:「働く女性の心とからだの応援サイト」(閲覧日:2024年5月24日)
宮崎 奈津季