【管理栄養士が解説】あなたのその疲れ「鉄分不足」かも?不足しがちな鉄の効率的な摂り方は?
管理栄養士の宮崎 奈津季さんに栄養の基礎知識を教えてもらうシリーズ。今回は「鉄分(鉄)」について。「鉄不足=貧血」がすぐに浮かびますが、本格的な貧血になる前段階でも、鉄不足による体の不調が発生することがあるそう。効率的な鉄補給の注意点についても聞きました。 【画像5枚】「非ヘム鉄」と「ヘム鉄」、それぞれどんな食べ物に多く含まれてるの?イラストでチェックする
鉄ってなぜ必要なの?
こんにちは、管理栄養士の宮崎 奈津季です。最近「鉄分不足」「鉄分補給サプリ」などの広告や話題をよく見る気がしませんか? 意外と知らない「鉄分(以下鉄)」について解説します。 ♦️鉄は常に不足気味! 鉄は体内に3~4gほど含まれているミネラルの一つです。そのうち、約70%は血液に、約4%は筋肉に、残りは肝臓や脾臓、骨髄にあります。 体内で効率よくリサイクルされており、排泄される量は1日あたり1mgほどといわれています。その分だけ補給すればよいと考えるかもしれませんが、鉄は吸収率が低いため、その何倍もの量を食事から摂る必要があるというのがポイントです。 日本人の食事摂取基準(2020年版)における30~49歳の女性(月経あり)の場合では、推定平均必要量(半数の人が必要量を満たす量)が9.0mg、推奨量(ほとんどの人が充足している量)が10.5mgとなっています。 しかし、令和元年国民健康・栄養調査報告によると、鉄の平均摂取量は、30代で6.4mg、40代で6.7mg。推定平均必要量に届いていないのが現状です。 ♦️鉄はどんな働きをするの? 鉄は、赤血球中のヘモグロビンと呼ばれる成分の材料となっています。ヘモグロビンの働きは、酸素と結びつき、肺で酸素を取り込んで全身の細胞に送り届けることです。また、鉄はそれ以外にもミオグロビンという成分の材料となり、血液中の酸素を筋肉に取り込む役割があります。それ以外にも体内のエネルギー産生に関わっています。 ♦️鉄が不足したらどうなる? 鉄の欠乏症は、「鉄欠乏性貧血」です。症状としては、疲れやすくなったり、頭痛や動悸、息切れなどです。また、過多月経や子宮筋腫などで出血症状がある場合は、不足しやすくなります。 鉄には酸素を利用するために働いている「機能鉄」と、機能鉄が不足する際に補給する役割のある「貯蔵鉄(フェリチン)」の2種類があります。基本的に、機能鉄が不足すると、貯蔵鉄が血液中に放出されますが、この貯蔵鉄が底をつくと貧血が起こります。 その前段階として、なんとか機能鉄を維持しようと貯蔵鉄を利用することで、貯蔵鉄が不足している状態を「かくれ貧血」と呼ぶことがあります。疲れやすさやだるさ、めまいなどの症状が出ることもあり、不調を感じる方も。体調不良を感じていたら鉄不足のせいだった、ということもあるかもしれません。