山中慎介が3・1両国で薬物疑惑ネリと再戦。「最後。この1戦に賭ける」
プロボクシングの前WBC世界バンタム級王者、山中慎介(35、帝拳)が3月1日に両国国技館で同級現王者のルイス・ネリ(23、メキシコ)とダイレクトリマッチを行うことが5日、東京・九段下のホテルで発表された。山中は昨年8月にネリに4回TKO負けを喫して、5年4か月間も守っていた王座から陥落したが、その後、ネリの薬物疑惑が発覚。調査したWBCが再戦を指令していた。 神と恐れられた左を持つ山中にとって悲願のリベンジマッチが決まった。 「現役続行を決めたときに、ネリと戦い、ネリに勝つこと以外考えられなかった」 昨年8月15日に母校のある京都で味わった屈辱。 勝てば具志堅用高氏の持つ13度防衛の日本記録に並ぶ歴史的な試合だったが、4回に連打を浴び、ロープを背負ったときに、トレーナーからのまさかの“早すぎたタオル投入”がありTKO負けとなった。その物議を呼ぶ敗戦から、数日後、ネリの薬物使用疑惑が発覚した。 試合の前後に行ったドーピング検査が陽性反応を示したのだ。ネリ陣営は「試合前に食べた牛肉が薬物汚染されていたのでは」と、苦しい弁明で薬物使用を否定。調査に乗り出したWBCサイドは、最終的に“クロ”とは認定せずにペナルティを与えなかったが、ダイレクトリマッチを指令した。前代未聞の経緯を経て、3・1両国で7か月ぶりにネリとの再戦が実現するこになったのだ。 「勝つ自信がなければ再起していない。厳しい戦いになるという覚悟もあるが、より成長したところを見せるだけ。僕は、もちろん、応援してくださっている人たちの誰もがスッキリしていない。ネリに借を返す。必ず勝って雪辱を果たして岩佐君と一緒に両国を盛り上げたい」 山中は記者会見で、そう決意を語った。 再起を決めた10月から対ネリを想定した練習をスタートしている。 「再戦なので、やり辛さもやりやすさもお互いにある。悪かった部分も良かった部分もわかっている。悪い部分を修正して直しているが、ガラっと変えるわけではない。攻撃面は変わらず前のままでいく」