日本鋳造の低熱膨張合金3Dプリンター製品、JAXAプロジェクトに採用。高精度観測実証
日本鋳造と早稲田大学は8日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などによる高精度観測装置の実証プロジェクトに、低熱膨張合金「LEX―ZERO」の3Dプリンター製品が観測装置の支持構造用部材として採用されたと発表した。 温度変化が著しい宇宙空間下でも変形しない特性などが支持された。同社は「今回の実験で(同製品が)宇宙環境下でも変形しないことが実証された。航空宇宙分野への拡販につなげたい」と意気込む。 JAXAや早大、防衛大、東京都立大などは観測装置の高精度化に向けた実証プロジェクト(DREAM3)を進めている。8月には北海道大樹町の大樹航空宇宙実験場で、観測装置を気球で水平飛行高度60キロまで飛ばす実証実験を実施。外気温が摂氏15度からマイナス50度へと変化する中、同製品の変形は見られなかった。 日本鋳造は早大の共同研究契約の枠組みで同プロジェクトへと参画した。観測装置は宇宙線を観測するためのレーザーダイオードとビームスプリッター(発受光部)、それらを支える支持構造部材で構成されるが、同社の3Dプリンター製品は支持構造部材として活用された。 宇宙環境下で観測精度を保つためには、支持構造部材が熱変化でも変形せず、レーザーダイオードとビームスプリッター(発受光部)の位置を高精度に維持する必要がある。今回実証実験を行ったのは小型の観測装置で、来年以降は装置を大型化して実証する予定としている。