起死回生「ラヴィット!」プロデューサーが見いだした朝帯番組での戦い方
3月29日で放送開始から1年を迎えたTBSの朝番組「ラヴィット!」。それまでに類を見ないバラエティー企画に特化した番組ゆえ、開始当初から社内外の不安視する声も相次いだ。悪い予感は的中、視聴率は低迷が続き、一時は打ち切りの危機がささやかれていた。だが、そこから出演者による大喜利がSNSなどでも話題になりテコ入れに成功、視聴率も躍進した。朝の帯番組という戦場で「王道バラエティー」でも戦えることを証明してみせた。最下位からの逆転のシナリオはどう描かれたのか。番組制作秘話をプロデューサーの辻有一に聞いた。(文中敬称略 取材・文・撮影:キンマサタカ/撮影:豊田哲也/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
番組の夜明け
朝7時、赤坂のTBSに続々とタレントたちが集まってきた。眠そうな目をこすりながら楽屋へ向かう芸人たち。同時間帯のスタジオではスタッフによる入念なリハーサルが繰り返されていた。出演者に見立てたスタッフがセットに立ち、カメラワークや進行を確認する。本番10分前、続々と出演者がスタジオに入る。MCの川島明が登場すると、空気が締まる。そして放送開始。MCと出演者の掛け合いでスタジオは大きな笑いと熱気に包まれた。 「朝といえば、ニュースやエンタメ情報が入り交じった番組スタイルが一般的で、バラエティースタイルの番組はありませんでした」
こう語るのは、「ラヴィット!」の立ち上げから携わるプロデューサーの辻有一。異色ともいえる朝番組を担当する辻は入社16年目、テレビ局の中枢ともいえる編成などを長く経験し、「坂上&指原のつぶれない店」「それSnow Manにやらせて下さい」などの人気番組を手がけ、制作現場へと軸足を移した。 それまで「朝の8時」といえば、司会者とコメンテーターとアシスタントが並ぶ、ワイドショーや情報バラエティー番組が一般的だった。 「朝の番組は、キャスターありきで企画が立ちあがるのが一般的です。でも、私とチーフプロデューサーが編成から受けた指令は、30~40歳代を中心により多くの人が見る番組で、さらに“ニュース・ワイドショーはやらない朝の帯番組”を作ってくれというものでした」 番組の立ち上げは早ければ1年前に決まるが、今回はギリギリで判断された。 「話が来たのが番組スタートの4~5カ月前。これはかなり急なことです。視聴者の属性を大きく若返らせる番組を作りたいということで、主にゴールデン帯のバラエティー番組を担当しているコンテンツ制作局に話が来ました。これまで『はなまるマーケット』などの人気番組はありましたが、それ以降は苦戦していて、TBSはこの時間帯では他局の後塵を拝していました。大きな賭けに出たんだと思います」