起死回生「ラヴィット!」プロデューサーが見いだした朝帯番組での戦い方
「一貫しているのは、ここでしか見られない番組にしたいという気持ちです。売れているかどうかは関係ない。テレビにあまり出てなくても、面白い芸人さんはたくさんいる。スタッフは常に探しています」 フレッシュな芸人同士の掛け合いが盛り上がれば、スタジオパートも熱を帯びてくる。キャスティングこそが番組の活力になっていると辻は力強く語る。 「出演者が大ブレークしたのはもちろん彼らの実力ですが、朝の番組にキャスティングするという判断は私たちにしかできなかったかもしれないですね」 番組にマッチする新しいタレントを探すため、賞レースの予選からチェックするなど、辻は今もアンテナを張り続けている。
躍進のキーパーソン川島のキャスティング秘話
そして、番組の躍進を語るうえで、欠かすことのできないピースが、MCを務める麒麟・川島明の存在だ。番組の企画立案とほぼ同時に川島の名前も挙がったという。 「生放送の2時間バラエティーを回せる人なんてそうそういない。私たちが特に素晴らしいと思っていたのは、川島さんの客観性です。何かを表現するときに、とても客観的な視点を持っていて、テレビを見ているほうも『確かにそうだよね』とうなずきたくなることばかり。そして生放送に必要なスピード感も兼ね備えている」 視聴者が明るい気持ちになるようにというコンセプトに川島は大きく共感してくれた。子供と一緒にお母さんが見ている家庭もあるかもしれない。「日本でいちばん明るい朝番組」の名にふさわしいMCの役割に徹し、人が嫌な気持ちにならないように心を砕いていることに頭が下がる思いがすると辻は語る。 「番組の根底にあるのは川島さんが必ず拾ってくれるという安心感でしょうか。だからスタッフもVTR作りを楽しめる。出演者たちがクイズの解答で大喜利を始めたのも同じ理由だと思います」
「最初の頃はネットでとにかくたたかれたし、おそらく川島さんも心を痛めていたと思います。こんなに必死なのにボロクソ言われることがとても悔しかったし、それ以上に数字もついてこない。いつか逆転しますと言える根拠もない。でも、川島さんは自身のスタイルを変えずに貫いてくれた。バラエティーで突っ走るという方針を変えなかったのは、それでなければ私がやる意味がないと思ったんです。内容を変えるなら、別の人がやればいいだけですから」