《薄井シンシアさん&木下紫乃さん対談》他人への頼み事「助けは喜んで受けるけど、私が頼むまで待たないで」「忖度して声をかけないとチャンスを逃す」
シンシアさん「日本人の『そっとしておく』という考えは冷たい」
シンシアさん:外交官夫人として海外に住んでいた時、ある人が若くして大病をしました。その時、日本人は職場の上司が「〇〇さんの家はいま大変だから、そっとしておきましょう」と言って、何も動きませんでした。でもアメリカ人たちは「子どもを預かるよ」「ご飯を持ってきたよ」と一斉に具体的な行動を取りました。 紫乃ママ:それはわかります。日本人は「何かあったら、言ってください」と言いますよね。 シンシアさん:日本人は本当に冷たい。私たちが東南アジアに赴任していた時、ある日本人の家族が旅先で災害にあい、旦那さんと子どもが亡くなって、奥さんが一人で戻ってきたことがありました。奥さんは、家族が最後に触れたものを動かしたくないから、ずっと家から出られない。そういう時、日本人は「そっとしておきましょう」なんです。でも彼女は家で、ずっと一人。私は日本人じゃないので積極的に彼女を訪ねて外に誘い出しました。彼女は、まだ子どもと一緒にいる気持ちだったので、彼女とホテルへ食事に行った時は、店に頼んで、子どもの席を用意してもらいました。「〇〇の食事も頼もうね」と、子どもの分の料理も注文しました。 学校も一丸となって彼女を守ったけれど、日本人は学校から職場まで誰も彼女と関わらなかった。関わると、自分たちが居心地が悪い思いをするからだと思います。私は日本人の「そっとしておきましょう」という考え方がまったく理解できません。 だから私は、人に何かをしてあげたい時は、相手が頼むのを待たずに自分から声をかけます。だから、私のために何かをしたいと思う人がいるなら、なぜ私が頼むまで待つの? と思います。
紫乃ママ「忖度はつまらないし、チャンスを逃す」
――シンシアさんを誘いたくても「忙しいかもしれない」と遠慮する? 紫乃ママ:それは日本人的な発想。私はおせっかいだから結構、声をかけます。だって忙しければ「忙しい」と言うだろうから、断られたら「タイミングが今じゃない」と思えばいいだけでしょう? 私は日本人だけど、自分で勝手に忖度しても結局相手の気持ちなんてわからないし、自分のチャンスを逃すことだと思います。 自分だって、例えばその相手といつでも変わらずお茶を飲みたいわけではないじゃないですか? 「ああ、あの人とお茶が飲みたいな」と思ったら、今しかない。タイミングを逃せば、次はいつになるのかわからない。特に私たちは後ろが短いから、いま自分が健康でも、明日は交通事故に遭って、もう会えないかもしれない。だから、思い立ったその時に声をかけた方がいいと思います。