「本の中で出会う人が、娘(8歳)に大事なことを教えてくれる」夫婦作家ザ・キャビンカンパニーが実践する育児と仕事
「本」や「人」との出会いが、つぶれても跳ね返せる強さを育てる
―8歳の娘さんに、子育てを通して「これだけは伝えたいな」と思うことはありますか? 吉岡「弾力ある考え方を携えて生きていってほしいなと思います。 例えば学校で、“通学では帽子を被る”っていうルールがあったとしても、曇りの日もあるし、絶対に何がなんでも被らなきゃいけないっていうわけでもないじゃないですか。 娘は、忘れたことに号泣して“帽子がない”って電話をかけてくるんです。真面目なことは悪いことじゃないけど、真面目さゆえにルールに縛られて苦しくなっちゃう瞬間もたくさん見てきて」 阿部「ルールって、もちろん守らなきゃいけないんだけど、それは破りすぎる人のためにあるものであって。守りすぎるのも弊害になるというか……それに苦しめられちゃうということもあるから」 吉岡「自分で考えてみて、ここはもうちょっと力抜いていけるとか、ここはちゃんとしなきゃいけないとか、そういう判断ができると、生きる上でもうちょっと余裕が出てくると思うんですよね」 ―誰かに言われたことをそのまま受け入れるだけじゃなく、自分の頭で考えて判断していくのは、「自主性」とも言い換えられるかもしれませんね。どうやったらそんな力が身につくのでしょうか。 吉岡「娘がこの先成長するなかで、とりあえず本を読んでいてくれたら、きっと大丈夫かなって思います。本を読むか、もしくは人と会うか、ですね。 人と会って話すのは気が進まない……という子は、本を読めば、本の中で出会う人たちが人生で大事なことを教えてくれるので。逆に、本を読むのが苦手なら、いろんな人と会って話したらいいと思うんです」 阿部「同じような思考の人としか接していないと、例えば“受験”や“会社”など、1つの道にしか正解を見出せなくなってしまうこともあると思うんです。でも本を読んだり人と会ったりして、いろんな生き方を知ると、それがさまざまな選択肢の1つに過ぎないって気づける」 吉岡「それによって、心に弾力性がついて、“つぶれそうになっても跳ね返せるような人”になれると思うんです」 ―いろんな考え方を知って、それが自分のなかで“混ざりあう”なかで、自分らしい考え方の根っこができていくのかもしれないですね。 阿部「本を読むことや人と話すことって、そこに答えがあるというより、問いを与えられているようなもので。自分はどう思うかな、って考える体験が大事なんだと思います。芸術に触れる体験もそうですね」