「本の中で出会う人が、娘(8歳)に大事なことを教えてくれる」夫婦作家ザ・キャビンカンパニーが実践する育児と仕事
40冊以上の絵本の原画が壁一面に!
展覧会のなかでも注目したい展示の1つが、壁一面に飾られた圧巻の絵本原画の数々。絵はすべて木の板に描いていて、額もすべて木で手づくりしたものだそう。 ザ・キャビンカンパニーが生み出す絵本は、2人で描いているからこその、いろんなタッチが“混ざりあった”唯一無二の世界観が大きな魅力。「絵本だからこう、という価値観にできるだけ縛られないように、いつも何かしら新しいチャレンジをしている」というお2人に、40冊以上の絵本のなかから6冊をご紹介いただきました。 ⚫︎『だいおういかの いかたろう』 吉岡「私たちのデビュー作です。“絵本はじっと聞くもの”というイメージを超えていきたくて、楽譜や振り付けのついた、みんなで踊れる絵本になっています。まさに読み手と聞き手が“混ざりあう”ような濃密な絵本体験を目指しました」 ⚫︎『ねんねこ』 阿部「眠れないときのマイナスな気持ちを、どうしたら楽しく解決できるだろう?っていう発想から生まれました。娘の寝かしつけで実際にしていた“夢のなかで待ち合わせしよう”という会話が、そのまま絵本になっています」 ⚫︎『ポケモンのしま』 吉岡「ポケモン世代ど真ん中の私たちにとって、ポケモンは子ども時代の象徴の1つです。子育てにおいて何かと槍玉に挙げられるゲームですが、現代の子ども世界を描くにあたって避けては通れないモチーフだと思うんです。私たちが子どもだったあの頃。自然もゲームも渾然一体に“混ざり合った”ような感覚を描いたつもりです」 ⚫︎『がっこうに まにあわない』 阿部「ある時、娘に“保育園は9時からだよ”って教えたんです。でも、それまで今だけを生きていた子が、時間の概念を知ると、未来を考えるようになっちゃうんだな……っていう罪悪感もあって。この絵本は時間の話なんですけど、“ふと時間を忘れるような感動的な瞬間”も対比で描いているので、時間について考えるきっかけになったらいいなと思います」 ⚫︎『ゆうやけに とけていく』 吉岡「絶望や悲しみの淵にいる人にもすっと寄り添えるような、静かな本をつくりたくて生まれた本です。夕焼けって、寂しくなりそうな時間帯だけど、空を見るといろんな色が“混ざりあって”いて。昼と夜のはざまの間(あわい)の時間だからこそ、誰でも受け入れてくれる、そんな存在だなって感じるんです」 ⚫︎『ミライチョコレート』 阿部「最新作の『ミライチョコレート』は、遠い未来を舞台にした絵本です。千年前は平安時代、だったら千年後はどうなってるのかな……?と。コンビニやスーパーで手軽に買っているものはどこからやって来ているのか、考えるきっかけになる絵本となれば嬉しいです」