娘からひ孫まで一族の栄華を見届けた藤原穆子
11月3日(日)放送の『光る君へ』第42回「川辺の誓い」では、藤原道長(ふじわらのみちなが/柄本佑)と三条天皇(木村達成)との確執が描かれた。そんななか、病に倒れた道長を見舞う藤式部(とうしきぶ/のちの紫式部/吉高由里子)は、心を通わせた相手だからこその言葉をかけるのだった。 ■虚々実々の駆け引きの末に道長が倒れる 息子・藤原顕信(あきのぶ)が出家に至ったのは、夫である藤原道長のせいだと、妻の源明子(みなもとのあきこ/瀧内公美)は激しく道長を問い詰め、そのまま倒れた。 その後、三条天皇は道長の娘・藤原妍子(きよこ/けんし/倉沢杏菜)を中宮とする一方、長年連れ添った愛妻・藤原娍子(すけこ/せいし/朝倉あき)を皇后とする一帝二后を推し進める。かつて道長が強引に成立させた前例があり、道長は強く反対できずにいた。また、天皇の渡りがないのをいいことに、妍子が宴三昧の毎日を過ごすなど、諸問題に頭を悩ます道長は、病に倒れた。 一方、『源氏の物語』を書き終えた藤式部は、実家に里帰りしていた。仕えていた藤原彰子(見上愛)も立派な皇太后に成長し、式部はこの世での役目を終えたと考えていた。挙げ句には出家を口にする母に、娘の藤原賢子(かたこ/けんし/南沙良)は当惑する。宮中での仕事に誇りを持っていた姿を知っていたからだ。加えて、筆を手にしない母を見たことがなかった。 その頃、病状が重くなった道長は、宇治の別邸で療養していた。すっかり覇気の衰えた道長を心配するあまり、長年の従者である百舌彦(もずひこ/本多力)は生きる力を取り戻させようと、式部を連れてきて引き合わせる。 式部はやつれた道長を目の前にして思わず言葉を失う。宇治の美しい風景にその姿はそぐわないとばかりに、式部は道長を連れて川辺に出て、語り合った。 そこで式部は、かつて交わした「国を変えてほしい」という約束を頑なに守ろうとする道長に対し、肩の荷を下ろさせようとする。式部の「道長様が生きておられれば、私も生きておられます」との言葉を聞き、道長はせきを切ったように涙する。 こうして式部は、結末を迎えていた『源氏の物語』の続編を書き始めた。舞台は宇治。『源氏の物語』の主人公である「光る君」死後の物語が始まったのだった。