「成長期の食事管理はJリーガーより大変だった」料理研究家・黄川田としえ 食で支えた娘はテニスでプロ志望
── 2010年に「アスリートフードマイスター」という資格ができましたが、1990年代にはそういった言葉もなかったですよね。 黄川田さん:そうですね。どちらかというと、選手自身がアスリートの食事について勉強する機会が多く、私より夫のほうが知識があり、詳しかったです。「試合前や後にはこういったものを食べるといい」と教えてもらい「じゃあ今度作ってみるね」と。 当時は大変だと感じていましたが、今振り返ると、大人のアスリートは体がすでに形成されているので、食事の管理はしやすかったと思います。体が成長期であるジュニアアスリートの食事サポートとはまた全然、違います。
── 長女の莉子さんはテニスのジュニアアスリートとしてご活躍中です。子どものサポートはまた違いますか? 黄川田さん:全然違って、大人よりもっと大変でした。私も最初は、アスリートを家庭で支えた経験があるから大丈夫だろうと思っていたところがあったんです。でも、娘が小学4年生でテニスのアカデミークラスに入ったころ、何日かハードな練習が続いて熱を出したんですね。それまですごく体が丈夫で体調を崩すことがほとんどない子だったし、家では栄養バランスを考えた食事をたっぷり出していたつもりだったのでショックでした。練習中にも栄養や水分を適切に補うことが必要だったんです。
そこで、大人相手の知識ではダメだと痛感し、ジュニアアスリートフードについて勉強を始めました。成長期のジュニアアスリートとトップアスリートとでは体の基礎が違うし、一般的な子育ての食事とも同じではダメだと気づいたんです。それから、補食のタイミングや何を食べたらいいか、それが自分の体にどういう影響を及ぼすのかを学んで子どもにも伝えられるようになり、倒れたりケガをしたりということがなくなりました。 ── たとえば成長期のジュニアアスリートの食事はどのような点に気をつける必要がありますか?