JPモルガン、中国株への強気姿勢を撤回-米大統領選控え不安強まる
(ブルームバーグ): 米銀JPモルガン・チェースは中国株に対する買い推奨を撤回した。経済成長への逆風と消極的な政策支援に加え、間近に迫った米大統領選挙を巡るボラティリティーの高まりが理由だとしている。
ペドロ・マーティンズ氏率いる同行のストラテジストは4日のリポートで、中国株の投資判断を「オーバーウエート」から「ニュートラル(中立)」に引き下げた。その上で、中国の習近平政権による景気低迷からの脱出に向けた動きは依然として不十分で、11月の米大統領選を前に両国の政府間で再び貿易摩擦が起きる恐れもあり、株価を圧迫しかねないと警告した。
中国製品への関税は20%から60%に引き上げられる可能性があり、「その影響は当初の関税戦争よりも深刻かもしれない」とストラテジストは指摘。「サプライチェーンの移転や米中対立の拡大、なお続く国内問題により、中国の長期的成長は構造的に鈍化傾向になる」との見通しを示した。
JPモルガンはアジア・中国株チーフストラテジスト、ウェンディ・リウ氏らが執筆した別のリポートで、2024年末時点のMSCI中国指数の基本目標を66から60に、CSI300指数については3900から3500にそれぞれ引き下げた。いずれも4日終値の55.7と3252を依然上回っている。
今ではグローバル銀行の大半が今年の中国の経済成長率を5%未満と予想しており、新たにバンク・オブ・アメリカ(BofA)が見通しを下方修正。JPモルガンの朱海斌氏も中国の24年の国内総生産(GDP)成長率予測を4.6%に引き下げた。
リウ氏は「4-6月(第2四半期)決算シーズン後の9月から10月にかけて、市場は弱含みで推移する可能性がある。この期間は米大統領選、米金融当局の金利決定、米成長見通しが注目される」としている。
原題:JPMorgan Abandons Bullish China Call as US Election Stirs Angst(抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Jacob Gu