「おい!ウチの高校は倒産するぞ!」今、特色の無い「私立高校」の経営がヤバい! 「受験者数アップ大作戦」に奔走した教員たちの悲劇とは
何でもいいから「学校の人気がアップするようなアイデアを打ち出せ」と命じられた「委員会」の面々。 「ムチャぶりもいいとこですよね。うちの高校には、もともとこれといった特色がありません。いちばん痛いのは、エスカレーター式に上がれる大学がないことです」 大学の附属高校は子供が受験の大変さを免れることができるため、さほど偏差値が高くなかったとしても一定の人気がある、と由理絵さん。 「カトリック系や仏教系など、宗教絡みの特徴もありません。宗教がバックにある高校は、やはり伝統校が多く、ネームバリューのある所が多いですからね」 特色がない、と由理絵さんは言うが、彼女が勤めているこちらの高校、かつては「超」がつくほどの進学校だったのだそうで… 「手前みそにはなりますが、附属の大学がない代わりに、質の良い授業と丁寧な進路指導で有名な高校でした。旧帝大などへの進学者もたくさん出ていたんです。『あの高校に進学すれば、有名校合格は約束されたも同然』と言われるほど…」 しかし、厳しくも上質な指導で子供たちの学力を高めていた当時の教員たちは、当たり前のように年を取り、次々に学校を去った。また、残存する「厳しめ」教員も、今ではクレームの対象でしかない。 「厳しい言葉をかけると、親からすぐにクレームが来る時代になりました。ベテランの教師たちもそれまでの『スパルタ』的な指導ではダメだとわかってはいるのですが、人間そんなにすぐには変われません」 地域の中で「あの学校はコンプラ的に問題がある」という噂まで流れるようになり、上層部も教員たちもすっかり弱気に…。進学実績も低下し始めてしまった。 「そんなこんなで、うちの高校はかつての唯一の特色である『学力』『進学実績の高さ』さえ失ってしまったんです」 ここまでの経緯と厳しい指導へのクレームの多さをヒントに、「受験者数向上委員会」では、先進的で柔軟な「多様性」に富む校風に路線変更しようというアイデアが飛び出した。 「制服で多様性を打ち出し、ジェンダーへの関心の高さを表現しつつ、おしゃれな制服に魅力を感じてもらえるようにしよう、という話になりました。よくあるアイデアではありますが、結構重要なポイントなので」 ところが、人気が低迷してきた高校の今後の命運を握るかと思われた「新しい制服」の決定は驚くほど難航したという。若手の教員が額を寄せ合って連日会議を重ね、上層部に提案したアイデアはなかなか魅力的だったはずだが、フタを開けてみれば、在校生やその保護者からも大不評だったというのだ。しかも、その後も「委員会」と上層部はともに「集客アップ」対策をめぐって思わずツッコみたくなってしまうような迷走を重ねた。その爆笑必至の迷走ぶりについては、記事後編にて詳報する。 ※この記事は取材に基づいていますが、取材対象者保護の観点から必要に応じて編集を加えておりますことをご理解ください。 取材・文/小澤みどり PHOTO:Getty Images
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