西日本でシャチが見られる唯一の水族館 「神戸須磨シーワールド」はこんなところ
6月1日、神戸市須磨区で水族館の「神戸須磨シーワールド」と、「神戸須磨シーワールドホテル」が開業しました。一体どんなところなのか、開業直前の5月28日に行われたメディア向け内覧会に参加して、施設内を見てまわってきました。
迫力を感じたシャチのパフォーマンス
5月28日午前、雨が降りしきる屋外のプール。水面に雨粒による波紋が多数できるなか、トレーナーの合図を受けて、大きなシャチが潜水。水中に姿を消したかと思うと、全く意外な場所からシャチが浮上して空中へジャンプします。あわててそちらへカメラのレンズを向けると、シャチが水面に落下して大きな水しぶきがあがり、大量の水がプールの外にこぼれおちました。さすがは大きな体を持つシャチです、迫力があります。 こうしたジャンプの他、シャチは水中に入ったトレーナーを鼻先で押したり、背に乗せたりして速いスピードで泳ぐといったパフォーマンスも披露。トレーナーと息のあったところを見せてくれました。 5月末まで、国内の水族館でシャチを展示するのは、鴨川シーワールド(千葉県)と名古屋港水族館(愛知県)の2か所のみ。6月1日からは、ここに神戸須磨シーワールドが加わりました。西日本でシャチが見られる唯一の水族館です。 神戸須磨シーワールドは、須磨海浜公園内で「スマスイ」と呼ばれて神戸市民らに親しまれた旧神戸市立須磨海浜水族園の跡地に建設されました。同園は、施設の老朽化などに伴い23年5月31日に閉園。その後、サンケイビル(東京都千代田区)など複数の民間企業で構成する共同事業体によって、同園を含む須磨海浜公園の再整備が進められ、6月1日の開業に至りました。
イルカの生態が学べる「ドルフィンスタディアム」も
施設内は、シャチを展示する「オルカスタディアム」と、イルカの生態を間近で学べる「ドルフィンスタディアム」、瀬戸内海の自然や神戸・須磨の生態系が学べる「アクアライブ」の3棟で構成されています。 「オルカスタディアム」では、冒頭で説明した通りシャチのパフォーマンスを観覧できる他、骨格標本の展示やシャチの映像の放映を含め、シャチについて学習できる「オルカラボ」などを用意。同スタディアムの1階には、透明なアクリル板越しにシャチが泳ぎ回る姿を見ながら飲食できるレストランもあります。 「ドルフィンスタディアム」では、バンドウイルカのパフォーマンスが見られる他、イルカとのふれあい体験ができるビーチ、水中のイルカをアクリル板越しに観察できるホールも設置されています。 「アクアライブ」には、スマスイ時代の生き物の約9割を継続展示。鳴門のうず潮を再現する水槽の他、イカナゴやマダコといった地元の生き物が観察できる水槽などがあります。内覧会では、ちょうど「夏眠(夏期に砂地へ潜って休眠するイカナゴ特有の習性)」に入ったイカナゴの姿を観察できました。 入場料は変動性を採用。高校生以上の大人の場合、お盆期間は3700円と最も高く、12~3月は2900円と最も安くなります。 この他、神戸須磨シーワールドホテルへの宿泊客は、隣接する神戸須磨シーワールドの入館料が無料に。同ホテルはこの他、全80室のベランダから瀬戸内海を望める点や、プールでバンドウイルカとふれあえる「ドルフィンラグーン」の常設などがセールスポイントです。
開場初日となる6月1日午前のオープニングセレモニーには、久元喜造・神戸市長も出席。あいさつに立つと「この神戸須磨シーワールドは、神戸を代表する施設のみならず、西日本を代表する海洋生物との触れ合いの場所となります」「新しい神戸のランドマークとして多くの人々に愛され、そして、引き続き神戸市民の皆さんにも親しんでいただけることを心よりお祈りを申し上げます」と期待を込めました。 (取材・文:具志堅浩二)