日本で印象派が人気な理由とは? 西洋のサロンを震撼させた「浮世絵の構図法」
クロード・モネ《日本の歩道橋、1899》(1899年) 出典:ワシントン、ナショナル・ギャラリー 【印象派に影響を与えた浮世絵】葛飾北斎《富嶽三十六景 神奈川沖浪裏》(1830-1834年) 日本で大人気の印象派。モネの展示が開催されると多くの人が集まります。そんな印象派ですが、その誕生には「日本の浮世絵」が大きな影響を与えていたといいます。書籍『東京藝大で教わる西洋美術の謎とき』(世界文化社)の著者である、東京藝術大学美術学部教授の佐藤直樹さんにお話を聞きました。
西洋美術の観方が変わる「3つの視点」
―美術史を学びたいけれど、どこから始めたら良いかわからないという声をよく聞きます。どの時代から学ぶべきでしょうか? 美術史を通史で勉強しようと思うと、古代ですぐに躓いてしまうと思います。順を追って勉強するのではなく、好きなところから見ていくことが大切です。例えば印象派から始めたら、次はその前後を勉強してみたり、ルネサンスにいってみたり。 音楽と同じで「バロック音楽から始めなきゃいけない」なんてことは無いので気になるところから勉強して、たくさんの点を作り、それが線として繋がっていくのが理想ではないでしょうか。 ――たしかに、それなら挫折せずに楽しく学んでいけそうです! ちなみに、西洋美術の鑑賞をさらに面白くするためのポイントはありますか? ビジネスパーソンのための美術講座で必ず覚えておいてくださいとお伝えしている"3つのポイント"があります。 1つめは、ルネサンスの画家・ラファエッロが亡くなった年【1520年】です。この1520年は盛期ルネサンスが終わった年だと言えます。ラファエッロの絵の中にも最後はバロックの要素が見えてきますが、ラファエッロ以降はマニエリスムやバロックが始まっていきます。 バロックはルネサンスが続いているなかで起こったものなので、明確にこの年から始まるということは言えません。ですがラファエッロが亡くなった年は決まっていますから、1520年の彼の死をもってルネサンスは一つの区切りを迎えたと言っていいでしょう。1520年以前がルネサンスで、そろそろバロックが始まるという目安になります。