『ふつうの軽音部』ELLEGARDENは作品の象徴として選曲。原作者が楽曲セレクトやキャラクター造形を語る【クワハリ先生インタビュー】
■「ふつう」の個性豊かなキャラができるまで
――改めて確認になってしまいますが、『ふつうの軽音部』以前にまとまったストーリー漫画を描かれたことは、特にはなかったんでしょうか? クワハリ:ないですね。 ――本当に衝撃的です。コマ割りだとか、漫画的なセリフ回しであるとか、キャラクターの見せ方はどう勉強されたんですか? 何か影響を受けたものがあるんでしょうか? クワハリ:コマ割りはまだ本当に下手で、(作画担当の)出内テツオ先生の方でよくしていただいてるところも多いですね。セリフ回しに関しては、やっぱり漫画が好きで、よく読んできたので、特定の先生ではなくいろんなところから影響を受けていると思います。 ――漫画以外のものだといかがですか? 口語的なセンスを感じますが、お笑いだとか、ラジオだとか。 クワハリ:あんまり意識的に触れているものはないですね。たしかに僕の漫画は割と口語的だと思うんですけど、それは家族や知り合いとの、日常会話のエッセンスが大きいかもしれません。最初に高校時代のエッセイ漫画を描いたときのノリが、フィクションを描くときでも引き継がれている感じですかね。 ――ゲスト出演されたポッドキャストの「週刊マンガ獣」では、福満しげゆき先生や山本さほ先生のお名前をお好きなマンガ家としてあげていらっしゃいましたが、そこからの影響は? クワハリ:そのおふたりはすごく好きな作家なので、影響を受けているような気もしますね。 クワハリ:難しいな……自分が読者だとして、連載の1話分を読んで、何も感じないようにはなるべくしないようにはしていますね。だから、「この話、ちょっとパンチが足りないな」と思ったら、最後の方で急に意外なキャラを出してみたりする。たとえば30話のラストでヨンスが部活に復帰するのは、その考え方で入れた展開ですね。あの話はコミックスの3巻の最後になるのもわかっていたので、鳩野のお父さんの話でそのまま終わると、引きが弱くてあまりよくないなと。それで再登場しただけじゃなく、そもそも部活に復帰する予定はなかったんですけど、することになって。