『ふつうの軽音部』ELLEGARDENは作品の象徴として選曲。原作者が楽曲セレクトやキャラクター造形を語る【クワハリ先生インタビュー】
――でもライバルキャラの鷹見は1話の時点で出てきて、しかも後にどういう立ち位置になるかが鳩野のモノローグで軽くほのめかされていますよね? クワハリ:そうですね。最初の頃に自分が何を考えて描いていたか若干忘れ気味なんですけど……名前が「『鷹』見」じゃないですか。「鳩」と「鷹」で対比になっているから、多分最初から、ライバル的な立ち位置にしようと考えて出したんじゃないかなと思います。
――作品の大きな方向性が見えてきたタイミングは、連載のどこかであったのでしょうか? クワハリ:当初はもっとエッセイ漫画っぽいというか、日常的な作品だったと思うんですけど、鳩野が初めてのライブで大失敗をして、他人に笑われて、落ち込んで、また再起して、弾き語り修業を始める……という流れを描いたぐらいから、鳩野を少年漫画の主人公っぽく感じ始めたんです。あそこの展開で改めて、キャラの属性が見えてきたといいますか。作品のボルテージが上がって、当初よりも緩くない、割と熱血スポ根的な要素が入っていったような気がしますね。 ――じゃあ、もしかしたら、もう少し緩めの、ダラッとした軽音ライフを描く作品だった可能性もありえたかもしれない。 クワハリ:かわいい女の子がわちゃわちゃしてるような漫画にはならないと思うんですけど、いつまでたっても主人公が覚醒せずに、もうちょっとグダグダしてる様子を描いた漫画になっていたかもしれません。そういう作品も好きなので。 ――そうして熱血スポ根的な要素が入り、作品のテンションが変わったタイミングで、「ジャンプ+」での連載のお話が来たのでしょうか。 クワハリ:そうです。だから商業連載に向けて準備をする中でも、作品のコンセプトはあまり変わっていないですね。「ジャンプ+」に移行する話がなくても描いていた内容の延長線にあるものを、基本的には描いています。各話の最後に引きを用意するとか、そういうことは「ルーキー!」で好きに描いていた頃よりは考えるようになりましたけどね。