J1移籍マーケットの勝者はどこ?
リーグの開幕日に54歳になる現役最年長選手、三浦知良が36年目のシーズンに挑む横浜FCはそのカズを除いて、一美和成の4得点が最多だったFW陣をすべて入れ替えた。 期限付き移籍だった一美が復帰したガンバ大阪から入れ替わる形で加わった渡邉千真は、昨シーズンに史上15人目となるJ1通算100ゴールを達成。ポストプレーに加えて相手の最終ラインの裏へ抜け出す動きも得意とするオールラウンダー、伊藤翔(鹿島アントラーズ)も加わった。 さらに187cmの長身を武器に、2019シーズンのJ2で17ゴールをあげたブラジル出身のクレーベ(ジェフ千葉)と、縦へのスピードに長けたレフティーのジャーメイン良(ベガルタ仙台)も獲得。中盤登録ながら前線でもプレーできる小川慶治朗(ヴィッセル神戸)もスピードを武器にする。 決定力、ポストプレー、高さ、スピードと多彩なアタッカーがそろった陣容に、3シーズン目の指揮を執る下平隆宏監督も、リーグワースト5位の総得点「38」に終わった攻撃陣の変化を期待する。故障で開幕には間に合わないものの、センターバックでもプレーできる33歳のベテラン、ボランチの高橋秀人(鳥栖)も同ワースト3位の総失点「60」を喫した守備陣にとって心強い存在となる。 名古屋、清水、横浜FCに続く存在として浦和があげられるだろう。日本代表経験者の加入こそDF西大伍(神戸)だけにとどまっているものの、4年の歳月をかけて徳島ヴォルティスを変貌させ、7年ぶりのJ1へ導いたスペインの知将、リカルド・ロドリゲス新監督の存在が最大の補強となる。 西の他にもJ1で結果を残したMF田中達也(大分)と東京五輪世代のMF金子大毅(湘南)、さらにはJ2で活躍したMF明本考浩(栃木SC)とMF小泉佳穂(FC琉球)らが加入。明本と小泉にはJ2で敵として相対した、ロドリゲス監督の評価と意向、そして期待も反映されているはずだ。 昨シーズンを締めくくる公式戦となった、1月4日のYBCルヴァンカップ決勝を制したFC東京は、始動後にU-20ブラジル代表でキャプテンを務め、2012年のロンドン五輪にも出場したセンターバック、29歳のブルーノ・ウヴィニをアル・イテハド(サウジアラビア)から獲得した。 入国制限中でまだ合流できていないが、フィットすれば柏とのルヴァンカップ決勝でも奏功した、元日本代表のDF森重真人をアンカーで起用する布陣が今シーズンも可能になる。移籍の第1登録期間が閉じる4月2日まで、シーズン開幕へ向けて調整を重ねる新チームの状態と新型コロナウイルス感染拡大をめぐる状況をにらみながら、各クラブの強化担当者はさまざまな強化シナリオを練っていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)