ネット民は「コンテンツがひどい」と訳知り顔で文句を言うが…制作者が語る、大炎上した「都庁プロジェクションマッピング」の実態
予算への批判を承知しつつ……
「額面だけを見れば当然高いと感じると思います。しかし実際に行っている内容からすると決して高いとは思いません」 と石多氏。実際、話を聞いていくと、それは経費がかかるだろうと思う。 「東京に限らず日本は観光戦略を重視せねばならないのは間違いなく、そのシンボルとしての存在感、東京だから他に類を見ないものをやれたという大きな意義があるはずですし、多くの人々が訪れる東京のあらたな観光スポット場所に生まれ変わっています。日本はともすると文化や芸術に対して理解に乏しく、そこへの投資は最後になりがちです。そうした中で、この事業はとても希望と夢のある方向性の一つともいえます」 プロジェクションマッピングをやりたくて映像業界に入る人たちも増えている。 「これだけの規模のエンターテインメントを、誰でも無料でいつでも見られるというのも大きな価値だと思います。もちろんテーマパークへ行けばまた違った体験や内容のコンテンツは色々とありますが、公共の場でこうしたアートやエンターテインメントがある都市というのは、一つの文化的豊かさだとも言えると思います」 すぐに実利や金銭、時間のコストで考える昨今だが、まるでミヒャエル・エンデの『モモ』に出てくる時間泥棒のようだ。これも無駄、あれも無駄と人に効率を押し付け、馬車馬のごとく働かせては時間をタバコのように吸うのが時間泥棒なのだ。何でも無駄だ効率だというのは、それこそ貧しい証拠だろう。さまざまな新しい表現に触れることで人生は豊かさを増す。人はパンのみで生きるわけではない。 「現在この企画は多くのインバウンドを集められるように認知が進んでおり、週末にはより多くのヒトが集まるポテンシャルを持った場所になっています。一度投資したこの企画をすぐにやるかやらないで判断するのではなく、今後はそれをどう使い、どう最大化していくか?そうした前向きな話をしたり、観光戦略や経済効果や、そして文化的価値に転換しながら検証していくことが必要だと個人的には思っています」