ネット民は「コンテンツがひどい」と訳知り顔で文句を言うが…制作者が語る、大炎上した「都庁プロジェクションマッピング」の実態
日本から発信していくプロジェクションマッピングの未来
これからのプロジェクションマッピングは、どのような未来へと向かうのだろう? 「日本には城や神社仏閣など、独自の建築があり、そうしたものを活用していくことは独自の魅力発信につながりますし、多数のIPコンテンツも利用できます。また自然も日本の魅力であり、ナイトウォークなどの自然とエンターテインメントを掛け合わせることにも大きな可能性があります。特に地方の独自性を出していくことは今後の観光産業を考える上でとても重要で、地域の独自性と、そこに質の高いコンテンツ制作者やプロデュースできる人材を投下していくべきだと思っています」 一過性ではなく長期的な視点で予算を組み、地域の独自性と、そこに質の高いコンテンツ制作者やプロデュースできる人材を投下していくべきだ。すでにプロジェクションマッピングというだけで人が集まる時代ではない。より強い演出性やわざわざ行きたいと思わせる文脈、イメージ戦略を仕掛けていくことが大切だと石多氏。 「プロジェクションマッピングはあくまで映像表現の一つです。同時に空間演出や環境演出の手法の一つでもあり、ライティングやライブ演出、また都市の中のサイネージとしての機能性も持たせることができます。そこには多様な視点で捉え対応していく柔軟さが必要です」 あらゆる固定観念に縛られず、自由に発想を広げ、世界が驚くような新鮮で素晴らしい作品を、この日本から生み出していきたいと石多氏。これからのアート、これからの産業の芽はすでに芽吹いている。
川口 友万(サイエンスライター)