宣言全面解除 安倍首相が会見(全文1)全国的に基準クリアしたと判断
身を守る行動続けて
それでもこの1カ月余りで、国民の皆さまはこのウイルスを正しく恐れ、必要な行動変容に協力してくださいました。小まめな手洗い、今や外出するときはほとんどの方がマスクを着けておられます。店のレジは人と人との距離を取って列をつくるなど、3つの密を避ける取り組みを実践してくださっています。こうした新しい生活様式をこれからも続けてくだされば、最悪の事態は回避できると私は信じます。3つの密が濃厚な形で重なり、これまでも集団感染が確認された夜の繁華街の接待を伴う飲食店、バーやナイトクラブ、ライブハウスなどについては、ご協力をいただいていることに感謝申し上げます。こうした施設も専門家の皆さんにご協力いただきながら、来月中旬をめどにガイドラインを策定し、上限200万円の補助金により有効な感染防止対策が講じられるよう支援する考えです。それまでの間、どうか身を守る行動を続けていただけますようにお願いいたします。 こうした取り組みを重ねてもなお、感染者の増加スピードが再び高まり、最悪の場合には残念ながら二度目の緊急事態宣言発出の可能性もあります。しかし私は外出自粛のような社会経済活動を制限するようなやり方はできる限り避けたいと考えています。市中感染のリスクを大きく引き下げていけば、それが可能となります。そしてそのためには感染者をできるだけ早期に発見する。クラスター対策をいっそう強化することが必要です。
鍵は接触確認アプリの導入
その鍵は接触確認アプリの導入です。スマートフォンの通信機能により、陽性が判明した人と一定時間近くにいたことが判明した方々、すなわち濃厚接触の可能性が高い皆さんに自動的に通知することで早期の対策につなげるアプリです。先月オックスフォード大学が発表したシミュレーションによれば、このアプリが人口の6割近くに普及し、濃厚接触者を早期の隔離につなげることができればロックダウンを避けることが可能となる大きな効果が期待できるという研究があります。わが国では、個人情報はまったく取得しない、安心して使えるアプリを来月中旬をめどに導入する予定です。どうか多くの皆さんにご活用いただきたいと思います。 同時に、医師が必要と判断した場合には直ちに検査を実施する、検査体制の強化にも引き続き取り組んでまいります。抗原検査の使用がすでに始まりましたが、PCR検査についても民間検査機関への支援に加え、大学にある検査機器を活用させていただくなど、検査機能の拡大を進めます。 検体を採取する体制も増強します。これまでの専用外来に加え、医師会のご協力をいただき、全国ですでに100カ所近いPCRセンターを設置しており、これをいっそう拡大していきます。2兆円を超える予算を積み増し、自治体と連携しながら医療提供体制の充実にも取り組みます。全国各地で新型コロナ重点医療機関を指定し、今後の流行の恐れに備え、十分な専用病床をしっかりと確保していきます。 ウイルスとの闘いの最前線で奮闘してくださっている医療従事者、病院スタッフの皆さん、介護事業所の皆さんに心からの感謝の気持ちとともに最大20万円の給付を行う考えです。高機能マスクや医療用ガウンなどの防護具についても、ウェブを使って全国の8000近い医療機関の状況を直接把握しながら、国による直接配布を強化していきます。感染状況が落ち着いてきたこの機を生かし、さまざまな取り組みを加速し、次なる流行の恐れに万全の備えを固めてまいります。 世界に目を向ければ、感染は今なお拡大を続けています。そうした中で、本日の政府対策本部では水際対策のさらなる強化も徹底いたします。入国拒否の対象国は100カ国を超えることとなります。経済のグローバル化が進んだ現代で人の動きが止まることは、世界経済に致命的なダメージを与えます。欧米での厳しいロックダウンによって生産などの経済活動も大きく停滞しました。世界経済の復活なくして日本経済の力強い再生もありません。国内で感染が落ち着いたとしても、世界的な感染の拡大に歯止めがかからない限り、真の終息はないのです。