「Z会エクタス」「最難関女子中学受験専門館」「SPICA」は入塾のハードルが高い? 大手塾が展開する「御三家特化型」エリート塾の実態は
「桜蔭・女子学院専門」塾もスタート
このエクタスとは別に、栄光ゼミナールは女子生徒のみの最難関校対策の塾もスタートさせた。中野にできた「最難関女子中学受験専門館」である。ホームページには桜蔭と女子学院対策と明確に書いてある。 最難関校受験の世界でも、男子と女子では目指すところが違う。男子御三家の算数は本当に難しい。学力上位層の女子は、男子御三家を目指す男子と同じクラスになるため、オーバースペックになってしまうことも多々ある。 そのオーバースペックをこなし、高い学力を身につけられればいいが、実際には必要以上に難しい問題を解くことに時間を取られて、本来やるべきことができず、伸び悩むことも多い。 そうならないように学習内容を調整し、授業をしているのが最難関女子中学受験専門館である。桜蔭の国語は中学受験全体の中でもトップクラスに難易度が高いので、しっかりと論理的な思考力を鍛えていくカリキュラムになっている。 学習内容だけではなく、授業を受けるスタイルも女子と男子ではちょっと違う。男子の元気のいい言動を、「落ちつかない!」と苦手に感じる女子もいるだろう。 そのため、以前から「女子生徒だけの塾を作ればいい」と感じていたので、それが実現して素晴らしいと思う。実際、うまく運営されているという評判だ。この塾は校舎も教室も小さく、授業は10名以下の少人数制で行われるから、講師が生徒一人ひとりに目を配りながら指導ができる。 学力最上位層の女子生徒が集まる塾 栄光ゼミナールの運営だから、桜蔭や女子学院の対策ノウハウも完璧に持っている。「桜蔭と女子学院を目指す女子」というニッチだが、確実に需要があるところにターゲットを絞ったブランドを立ち上げたのは注目に値するだろう。 栄光ゼミナール中から優秀な女性講師も集められ、万全な体制で生徒を桜蔭と女子学院に導く。年に3回、保護者との面談があるが、希望すれば随時、講師やスタッフに相談ができる。塾側と保護者のコミュニケーションも重視しているのだ。校舎の内装もおしゃれで、1階にラウンジスペースがあるので、保護者はそこで子どもを待つこともできる。 こう書くと理想的な塾に思えるが、ネックは中野にしか校舎がないことと、入塾テストのハードルが高いことだろう。私が著書『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)でこの塾を紹介したところ、それを読んで入塾テストを受けたものの「玉砕でした」と嘆く保護者もいた。 エクタスとは違って入塾テストがあるが、そうそう合格しないので不合格でも落ち込むことはない。また、エクタス同様に4年の末に進級テストがあり、合格しないと5年に進級できない。授業を見学したが、小学生とは思えない集中力のある女子生徒たちであり、授業の内容もハイレベルである。