始まりはパタゴニア創業者との出会い:フリースの元祖ポーラーテックの技術力とは
アウトドアブランドのパタゴニアと言えば、「シンチラ」を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。いわゆるフリースの代名詞となった商標で、すべてのフリースはここから始まったと言っても過言ではない。 しかしながら、このフリースがポーラーテック(POLARTEC)というファブリックメーカーの技術によってもたらされたことを知っている人はどれほどいるだろうか。 今回、ポーラーテックの日本代理店であるSCTジャパンの蓮沼啓介さんに、フリースの開発に至るまでの経緯、そして多様な種類のフリースを展開するポーラテックの技術力を伺った。
フリース開発秘話
ーポーラーテックの歴史を教えてください。 1865年に、ポーラーテックの前身となるモールデン・ミルズという紡績工場がアメリカのボストンで誕生しました。 ボストンは非常に寒い地域で、当時はウールを使ったアメリカ軍のコートや家具用のファブリックを作っていました。第2次世界大戦後には、ポリエステル繊維も扱うようになります。
1950年代には、ファッション業界でフェイクファーが大流行し、モルデン・ミルズ社もその製造で、業績を上げていきました。
ーフリースの開発はどういった経緯だったのでしょうか。 フリースはパタゴニアの創業者であるイヴォン・シュイナードとモールデン・ミルズとの偶然的な出会いから始まります。 イヴォンはアウトドアクライマーでもあり、濡れてもすぐ乾く化学繊維に注目していました。そこで奥様のマリンダがロサンゼルスの卸売りセンターでフェイクファーを見つけて購入したらしいです。 そのフェイクファーを使って、イヴォンはセーターを作り様々な条件でフィールドテストを行いましたが、毛玉になったり、見た目が不格好だったりと問題はありましたが、素材自体は非常に暖かく濡れてもすぐに乾く優れたものでした。 そこでしっかりとアウトドアでの使用に耐えうるものが欲しいということから、モルデン・ミルズ社に開発を依頼しました。
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