「サザビーズ・メゾン」が香港・セントラル地区にグランドオープン。こけら落とし展示は、ゲルハルト・リヒターと中国宋代の汝窯陶磁器の展覧会
サザビーズのアジアにおける新たなフラッグシップ拠点「サザビーズ・メゾン」が香港にオープン。こけら落とし展は、ゲルハルト・リヒターの「Eisberg(Iceberg・氷山)」(1982)と、中国の宋代の希少な汝窯陶磁器を取り上げた「ICE: Two Masterworks on Loan from the Long Museum」と「Bodhi: Masterpieces of Monumental Buddhist Art」
サザビーズのアジアにおける新たなフラッグシップ拠点「サザビーズ・メゾン」が香港にオープンした。ラグジュアリーブランドや世界的なコマーシャルギャラリーが立ち並ぶセントラル地区に開設される。 ロッテルダムの建築スタジオ・MVRDVがデザインした約2230平方メートルに及ぶスペースは1階・2階の2フロアで展開される。2階にはサロンが5つ設けられ、奈良美智《Agent Orange(In the Milky Lake)》や、塩田千春《State of being (Skull)》、平子雄一《Tree Ring》など、日本人作家の作品を含む数百点にわたるファインアート作品やオブジェが販売される。オープニングでは、衝撃的なオークションの瞬間のひとつとして記憶に新しい、バンクシー《Girl with Balloon》も紹介される。 大通りに面するメゾンの1階スペースは3つの空間から成り、展覧会やパフォーマンス、オークションが開催される。道教の教えの具現化でもある岩の形にインスピレーションを受けたデザインは、自然との調和、絶え間ない変化と適応性を象徴し、過去と現在をつなぐ没入的で瞑想的な空間となっている。 グランドオープニングの展示は、ドイツのビジュアルアーティスト、ゲルハルト・リヒター「Eisberg(Iceberg・氷山)」(1982)と、中国の宋代の希少な汝窯陶磁器を取り上げた「ICE: Two Masterworks on Loan from the Long Museum」が、9月11日まで開催される。 「ICE: Two Masterworks on Loan from the Long Museum」展は、ゲルハルト・リヒターによる「Eisberg(Iceberg・氷山)」が、光り輝く青緑色の釉薬と織り交ぜられて、氷のようにひび割れた美しい表情で人々を魅了してきた汝窯の筆洗陶磁器と重ね合わされる。氷の邂逅とも言える対話は、カフカに強い影響を受け、SFや幻想文学とも親和性を持つ特異な物語世界で知られるアンナ・カヴァンによる小説『氷』(1967)の一節も参照される。 また、古代ガンダーラから栄華を誇った明朝宮廷、北朝と南朝の激動の時代、二つの宋代まで、二千年にも及ぶ仏教芸術の発展をたどる展覧会「Bodhi: Masterpieces of Monumental Buddhist Art」も同時に開催されている。 同社は新たなメゾン開館を記念して、英国の俳優、チャールズ・ダンスがナレーションを務める特別映像「Another World」(2024)も制作した。そこでは複製技術を経たコピーが溢れる現代の世界で、それでも「Another World(未知の世界)」を探求できると語られている。 『Another World』は、私たちメゾンの哲学を体現しています。訪問者はこの場所において、数百万年の歴史と多様な文化や文明を反映したアートや収集品の数々を優れた美術館的要素を兼ね備えた空間で提供されるプログラムとともに、365日楽しむことができます。私たちの新しいメゾンは、歴史が語られ、創られる場であり、素晴らしい物語の数々が生き生きと蘇る場所になることを確信しています。(プレスリリースより、サザビーズ・アジア会長、ニコラス・チョウのコメント) サザビーズは、9月に「サザビーズ・モダン・コンテンポラリー・アートのイブニングセールスとデイセールス」を、10月には「ラグジュアリー&アジアン・アートオークション 」も展開する予定だ。
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