政府がPRする「マイナ保険証のメリット」は“ミスリード”? 14名の弁護士が指摘…見落とされている「5つの法的問題」とは
深刻な「個人情報保護」「情報プライバシー権」の問題
このほかに、個人情報保護法制に詳しい赤石あゆ子弁護士から、「個人情報保護」「情報プライバシー侵害」の観点からのリスクに対する懸念が強く示された。 赤石弁護士:「医療情報は誰にとってもセンシティブな情報だ。 特に、外から見えない精神疾患、発達障害、あるいは性病の検査の履歴といった情報は秘密にしたいというニーズが非常に強い。 ところが、マイナ保険証で本人確認をする際に行われる『医療情報提供に関する同意確認』のしくみでは、同意が一括して与えられてしまう。 誤って『同意する』のボタンを押したら、前の画面に戻って撤回することができない。しかも、医療機関の内部で情報を見ることができる人の範囲も限定されていない」 マイナ保険証への一本化については、政府・与党の立場も決して「一枚岩」ではないと考えられる。現に、石破首相も、自民党総裁選の段階で、一本化の見直しの余地があることに言及していた。しかし、石破内閣が発足した直後、石破首相は会見でその点について一切触れなかった。また、新たに就任した平将明デジタル担当大臣は、一本化の方針を「堅持する」と述べた。しかし、その必然性について、数値的根拠を示すことも含め、十分な説明が尽くされているとはいえない。 マイナ保険証の問題点はさまざまな視点から指摘されているが、今回の会見で指摘された「法的問題点」は十分に周知されているとはいえない。曲がりなりにも「法治国家」を標ぼうするわが国において、マイナ保険証への一本化がどのような事態をもたらすのか、法的観点からの検証と問題点をクリアにしていくことは欠かせないだろう。
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