70歳、大人気のボードゲームカフェへ。脳を酷使するかと思いきや…『はぁっていうゲーム』で盛り上がり。孫と遊べて認知症予防にも
◆運と実力のバランスで誰でも楽しめる 自ら「ゲームオタクなのです」という仙名店長に、最近のボードゲームの傾向を分析してもらった。「むかし人気だったサイコロの結果でゲームをするものより、最近は洗練されてきて、先を見据えた戦略的なゲームが人気です。終わるまで2時間かかるもの、その逆に、5分、10分で終わるパーティゲームと言われるものがあり、2分化されてきました」。 仙名店長が、昔からある不動の人気の『カタン』というゲームを見せてくれた。 “カタン島”と名付けられた六角形の島が舞台になっており、「資源で未来を開拓するロマン」と言う内容説明が箱についている。子どもも大人も遊べるゲームだ。 白坂代表にボードゲームならではの魅力を聞いてみた。 「たとえば将棋は、自分より実力が上のうまい人とやったら勝てません。でもボードゲームは頭が良ければ勝てるわけではないし、運と実力のバランスが面白いのです」 インタビュー中も若い人たちが次々店を訪れ、ゲームを選んで、テーブルで楽しんでいる。料金システムは時間制で、その間好みのゲームを何種類でも楽しめる。私がこれまでで最高齢の来店者だと思い、シニアの友人たちに自慢しようと考えていたら、白坂代表に「休日は、お孫さんを連れてお年寄りがいらっしゃいますよ」と言われた。「最高齢の」という名誉が欲しかったので残念だ。
◆実際に挑戦して分かったこと いよいよ、ボードゲームに挑戦。棚に並んでいるゲームを見たが、全く知らないものばかりだ。 ゲームの対戦相手は、婦人公論の20代の編集者Tさん。若さが眩しいが、負けるわけにはいかない。白坂代表と仙名店長が、ゲームの説明をしながら参戦する。おふたりに、「何でこんなにもルールの覚えが悪いバアサンを、連れて来たのだ」と思われるといけないので、緊張してきた。その一方で、20代、30代と勝負する70歳の自分の無謀さに酔いしれていた。 まずは、『ワードバスケット』。日本生まれのゲームで、全てのカードにひらがなが一文字書いてある。箱の中(場)に置かれたカードの文字から始まり、自分の手札のカードの文字で終わる3文字以上の言葉を作る。箱にはサブタイトル『日本語ワードゲームの傑作』とあり、確かに傑作だ。膝を叩いて笑ってしまうほど、言葉が全く頭に浮かばない。逃げることにした。私の隣りにいるTさんに、「言葉を生業にしている若いお方、お答えを先にどうぞ」と、年配者の貫禄で勝利を譲ったふりをしてごまかした。Tさんは、必死に言葉を考え始め、私のずるさに気づかなかったようだ。 次のゲームは、『Dr Eureka(ドクターエウレカ)』。試験管に見立てたプラスチックの瓶が3本。中には赤、紫、緑色の玉がそれぞれ2個ずつ入っている。引かれたカードの絵柄通りに、試験管の玉の色を入れ替えるのだ。3本の間で玉を行ったり来たりさせるのだが、落としたらアウト。カード通りにするのは困難を極める。できたら「エウレカ」と声を上げた人が勝ちだ。頭は使うわ、試験管を持つので手は使うわ、対戦相手を気にするゆとりがない。