不安障害とは何か~不登校との関連性【専門クリニックから見た最前線】
◇疫学研究による関連性の実証
まず、疫学研究から明らかになった不安障害と不登校の関連性について概観し、続いて各種不安障害の特徴と、その不登校への影響について詳しく見ていきます。 複数の疫学研究により、不安障害と不登校との間には強い関連があることが実証されています。北米、欧州、アジアの6カ国から得られた11件の研究の系統的レビューでは、分離不安障害、全般性不安障害、社会不安障害、および単純恐怖症との関連が確認されています[5]。 特に注目すべきは、9~16歳を対象とした8年間の地域研究の結果です。この研究では、不安による不登校が、うつ病や分離不安障害と強い関連を示すことが明らかになっています[6]。さらに、不安の強さのレベルと不登校行動との間に統計的に有意な関連があることが示されており[7]、不登校問題の深刻さと、そこに介在する不安障害の重要性が裏付けられています。 次回は不安障害の分類にフォーカスして、不登校との関連性についてお話ししていきます。(了)
飯島慶郎(いいじま・よしろう) 精神科医・総合診療医・漢方医・臨床心理士。島根医科大学医学部医学科卒業後、同大学医学部附属病院第三内科、三重大学医学部付属病院総合診療科などを経て、2018年、不登校/こどもと大人の漢方・心療内科 出雲いいじまクリニックを開院。島根大学医学部附属病院にも勤務。 参考文献: [1] 文部科学省: 令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について, 2022. [2] Anxiety disorders in children and adolescents: Epidemiology, pathogenesis, clinical manifestations, and course (UpToDate) [3] 渡部京太:不安障害 不登校・ひきこもりとの関連を中心に.小児科臨床,64(5): 871-879, 2011. [4] Karthika et al: School refusal - Psychosocial distress or Psychiatric disorder? Telangana J Psychiatry. 6(1):14-18, 2020. [5] Finning et al.: Review: The association between anxiety and poor attendance at school – a systematic review, 2019. [6] Egger et al.: School refusal and psychiatric disorders: a community study, 2003. [7] Mohamed et al.: Association between School Refusal Behaviors and Anxiety Level among School-Age Children, 2020.