全日本大学駅伝、前回4位の中大が12位、箱根4位の東洋大が13位…下位に沈んだ名門2校に何があったのか!?
(スポーツライター:酒井 政人) ■ 初出場の立大が7位入賞 國學院大と青学大のアンカー対決となった全日本大学駅伝。シード権争いも大混戦となった。6区終了時で7位から11位までが43秒差。8位以内を目指して、日体大、中大、帝京大、東京国際大、立大の5校が競り合った。 【写真】全日本大学駅伝、3区を走る東洋大の梅崎蓮 そのなかで初出場となる立大が7位に食い込み、シード権に到達。箱根駅伝予選会のトップ通過に続いて歓喜を味わった。 8位は帝京大で、4年ぶりのシード権を獲得。9位が東京国際大、10位が日体大で、中大は終盤に順位を落として、まさかの12位に沈んだ。また箱根4位の東洋大も13位と実力を発揮できなかった。 シード権を狙っていた中大と東洋大にとっては“惨敗”といえる結果になった。その原因はどこにあったのだろうか。 ■ “ターンオーバー制”で臨んだ中大はまさかの12位 前回4位の中大は立大同様、箱根駅伝予選会を経てのレースになった。そして同予選会を起用しなかった選手を5人登録。1区溜池一太(3年)、3区本間颯(2年)、4区浦田優斗(4年)、5区東海林宏一(4年)、7区吉居駿恭(3年)と並べてきた。 リーグ戦やカップ戦などの試合に応じて先発メンバーを大きく入れ替えるサッカーの「ターンオーバー制」のような戦略で臨んだのだ。 故障上がりの溜池は19位スタートとなったが、トップとは13秒差。2区の岡田開成(1年)で7位に急上昇して、3区の本間も順位を1つ押し上げた。しかし、4区の浦田が区間13位で8位に転落。5区の東海林も区間9位と伸び悩んだ。 6区の佐藤大介(1年)は区間7位の走りで8位をキープするも、7区に入ったエース吉居駿恭(3年)がまさかの区間14位。シード権争いから脱落して、11位まで順位を下げる。前回4位と好走している8区阿部陽樹(4年)でさらに順位を落として、12位でレースを終えた。 大会前日の記者会見で、「3強の一角を崩して、3位以内を目指したいなと考えております」と藤原正和駅伝監督は話していただけに、「どうもこうもないですね。うまくいかなさすぎて……」とレース後は本音が漏れた。 「4区の浦田と5区の東海林は全日本専用で作ってきたんですけど、ふたりで想定より1分10秒ぐらい悪かった。そこで流れが切れてしまいましたね。6区の佐藤がリカバリーしてくれたんですけど、7区の駿恭ですよ。調子自体はしっかりと仕上げてこられていたので、なぜあれだけ走れなかったのか。ちょっと我々もわからないですね」 7位入賞を果たした立大は箱根予選会に出場したメンバーを7人起用した。一方の中大は8人中5人がフレッシュな状態だったが、結果には結びつかなかった。 「立大は地力をつけているんだなと感じました。私たちは箱根予選会と全日本でメンバーを少しわけるようなかたちで作ってきたんですけど、結果がでなかった。そこは受け止めないといけないですね。一番の原因はエースクラスを秋の駅伝シーズンに仕上げられなかったことだと思います。今回、溜池は頑張ってくれましたが、柴田大地(2年)は間に合いませんでした。駿恭も良くなかった。ただ1年生がよく走ってくれたのは収穫です。箱根まで立て直す時間は十分にあります。こんな駅伝をさせるためにやってきたわけではありません。このままでは終われないですよ」(藤原監督) 狙い通りの結果を残すことはできなかったが、箱根予選会と全日本大学駅伝はすべての戦力をつぎ込んだわけではない。“総力戦”となる箱根駅伝でどれだけのインパクトを残すのか。正月決戦で名門・中大の真価が問われることになる。