ホットケーキで子どもの頭が良くなるってホント? その方法を脳科学者が解説
「自分の頭で考えられる、頭のよい子になってほしい」「子どもの知的好奇心を高めたい」子育て中の人なら、こんな思いを持つ人が多いのではないでしょうか。脳科学的には、「頭がよい」とは「脳の中に高速ネットワークをたくさん持っている状態」とも言うことができ、脳に刺激を与えて育てる「脳育」が重要なのだとか。そこで今回は、「脳トレ」の第一人者・川島隆太教授による著書『脳科学研究がつきとめた「頭のよい子」を育てるすごい習慣』(プレジデント社)から、脳育となる習慣について少しだけお届けします。 ◇ ◇ ◇
一緒にホットケーキを作ると、子どもの頭がよくなる!
子どもが生活の中で一番楽しみにしているものといえば、おやつ。幼児だけでなく、高校生、大学生になっても、自宅で食べるおやつを楽しみにしている子どもは多いことでしょう。 実は、子どもが大好きなおやつを親と一緒に作ることで、子どもの前頭前野が強く活性化されるのです。 私たちの研究チームは、仙台市の幼稚園児から小学6年生までの子どもたちが、親と一緒にホットケーキ作りをしているときの脳の活動の様子を測定しました。すると、泡立て器で混ぜたり、生地をこねたり、生地を焼いたりといった様々な工程のすべてで、前頭前野の血流がよくなり、その働きが活発になる様子が確認できました。 中でも、「卵を割る」「材料を量る」といった、慎重さが必要だったり、ほどよい難しさがある作業になると、特に強く反応することがわかった点は注目に値します。 とりわけ顕著に反応したのが、小学校中学年の児童でした。
忙しい平日に毎日一緒におやつ作りをするのは難しいでしょうから、“週末のお楽しみ”にするのもよい方法です。 研究では、週に一度、親子でホットケーキを作ることを6週間続けてもらったところ、やらなかった親子よりも実行した親子のほうが、親子の関係性や子どもの情緒面にポジティブな影響が表れることも確認されました。 幼少期の食を通じた親とのコミュニケーションは、脳発達だけでなく、大人になってからの幸福度にも大きく影響しています。 2009年(平成21年)に東北大学と森永製菓が共同研究で行ったアンケート調査では、幼少期に親とおやつ作りを体験した大学生は、体験したことがない大学生と比べて、「主体的幸福感」が高いことがわかったのです。