成長続く「博多阪急」の特徴は低い外商依存度…「ターミナル百貨店」強み発揮、売上高は福岡市で2番手に
地下鉄で5分ほどの福岡空港を訪れる外国人の増加などで博多駅の乗降客数が増えていることも追い風だ。ただ、強みは弱点でもある。訪日客や鉄道利用の増減は社会情勢に左右されやすく、安定した経営基盤を築くには外商の拡大や固定客の獲得が不可欠。亀井潤一店長(61)は「更なる成長のために一人ひとりのニーズに寄り添っていきたい」と話す。
商業集積目指した駅ビル
博多駅一帯の商業集積を目指して新駅ビルを建設したJR九州は、ビル内で自ら専門店街「アミュプラザ博多」などを運営する。建設時、共存を目指す核テナントには井筒屋と高島屋の2百貨店も関心を示したが、高島屋が大きな面積を求めるなど、折り合いがつかなかった。計画当時、JR九州社長だった石原進氏(79)は「阪急は条件面で厳しいことを言ってこなかった」と振り返る。
背景には小~大規模店を運営してきた豊富なノウハウがあった。進出決定後は地元への浸透を優先し、08年には地場百貨店の博多大丸の元常務、中山正勝氏(82)を特別顧問に迎えた。中山氏は約9年にわたって在籍し、清掃や警備などの委託先を地場企業にするよう助言して地域密着に力を注いだ。阪急の躍進に「街で阪急の袋を持っている人を見かけるとうれしい」と目を細める。
博多阪急やアミュプラザ博多が入る新駅ビルと、近くで16年に開業したオフィスビル「JRJP博多ビル」の商業フロア、商業ビル「KITTE博多」の核テナント・博多マルイの売り上げ規模は、相乗効果もあって23年度、初めて計1400億円を超えた。約2キロ・メートル離れた九州最大の繁華街、福岡市・天神地区の3百貨店の運営会社の総額売上高(計1786億円)に迫っている。