萩原博子「日銀がマイナス金利を解除。これからどんどん金利は上がる?日本経済は《上は晴天、下は土砂降り》状態。ローン、投資の今後は…」
経済ジャーナリストの荻原博子さんが、お金に関するお得な情報をわかりやすく解説する新連載「トクする!荻原博子のマネーNEWS」。今回は「金利が上がる?ローンと投資の今後は」です(イラスト:さかがわ成美) 【写真】「持病持ち、高齢でも入れて保険料が安い」と語る保険に気を付けて!と話す荻原さん。その理由とは * * * * * * * ◆金利が上がる?ローンと投資の今後は 日銀がマイナス金利を解除しました。この先は徐々にですが、金利が上昇してくるかもしれません。そうなった時に、どう対処すればいいのでしょうか。 住宅ローンなどの借金がある人は、金利が上がらないうちに早めに返済すること。特に変動金利のローンは、金利が上昇してくると返済額が膨らむ可能性があるので、繰り上げ返済でなるべく元金を減らしておくとよいでしょう。 銀行預金については、大手銀行が普通預金の金利を0.001%から0.02%に上げ、地方銀行もこれに追随しています。ただ、この先どんどん金利が上がるわけではありません。 マイナス金利の解除で、銀行は皆さんから預かったお金を安心して日銀に預けられるようになりました。こうすると銀行は日銀から0.1%の金利をもらえる。皆さんから預かったお金に0.02%の金利をつけても、差し引き0.08%が確実に儲かります。このカラクリで預金金利を引き上げただけですから、ここからどんどん金利が上がっていくとは考えにくいのです。 投資については、一般的に、金利が上がれば投資家にとっては不利になるものです。 金利の上昇は国内景気を冷やすだけでなく、海外との金利差が小さくなるので、円高になりやすい。現在、日本では、海外の投資商品を買っている人が多いため、円高になると損をする人が増えます。さらに、今まで日本の株式市場を支えてきた外国人投資家が逃げるという事態にもなりかねません。
◆「上は晴天、下は土砂降り」 ただ今回は、「マイナス金利解除」「金利のある正常な状況」とマスコミが大騒ぎした割には、マイナス0.1%の長期金利が0%になっただけの小規模な政策でした。 海外からは逆に、「日本は金融緩和をやめない」と見られ、円が売られて円安になっています。それで、なんとか株価も4万円前後にとどまっているのです。 投資環境がよくなるには、経済が改善しなくては難しい。一部の大企業は儲かっているけれど、多くの企業や庶民の生活は疲弊しています。賃金は人手不足解消のために上がっているだけで、企業が潤っているわけではない。人手不足による倒産も起きかねません。 実質賃金は22ヵ月連続で下がっていて、GDPの個人消費も3期連続のマイナスです。日本経済は、「上は晴天、下は土砂降り」の状況で、決してよくありません。 政府も日銀もデフレ脱却宣言をできず、多くの人にとっては投資環境がよいとはいえない。個人的な意見ですが、この時期はとりわけ投資はおすすめできません。 (撮影=本社写真部)
荻原博子
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