北京五輪の公式アプリに注意?!米紙が北京五輪の問題点を指摘「米中の利害がぶつかる劇場になる可能性が」
北京五輪が3日、一部の競技から“開幕”した。4日には開会式が行われ、17日間の熱戦が本格的にスタートするが、新型コロナ禍での開催で選手や関係者の間で感染が広がっているという不安な現状がある。3日のBBC電子版によると検査で新しく陽性反応を示した選手や関係者は55人で、1月23日からの陽性反応者は287人に達した。日本の選手団やコーチのなかからも陽性反応者が出ている。 大会組織委員会は隔離と検査によって感染拡大を防ごうとしているが、新型コロナ対策が公平に行われているかどうかに懸念を示す声がある。 米ヤフースポーツのコラムニスト、ダン・ウェッツェル氏は、米国時間2日の電子版で次のように報じた。 同氏は、先月、ドイツのスノーボード連盟会長のマイケル・ヘルツが「中国の大会でフェアプレーが見られるかどうか疑問。新型コロナの検査は比較的簡単だ。誰かが後で『申し訳ありません、偽陽性でした』と言えばいいのだから」と発言したことに注目した。 要するに、新型コロナの検査結果を不正操作されるのではないか、との不安を抱いているのだ。 ウェッツェル氏は、「みんなが内輪で話し合っていることを、声に出して言ったヘルツを評価する」としている。 大会組織委員会は、新型コロナ対策のひとつとして、代表団の入国前に公式アプリ「MY2022」のスマホへのインストールを義務づけ、健康状態を報告するように呼び掛けているが、不正アクセスを防ぐために個人所有の携帯電話やノートパソコンを持ち込まないようにと注意をしている国が出てきたことも付け加えた。FBIもサイバー攻撃に「警戒すべき」と米選手団に呼びかけている。 日本政府も松野博一官房長官が3日の記者会見で、JOCなどに対し、この公式アプリの使用を必要最小限にとどめるよう注意喚起したと明かした。帰国後のアプリの削除や、アプリをインストールする端末を別に用意することを求めたという。 ウェッツェル氏は、「国家ぐるみの不正行為を疑うことは妥当なことだろうか。現代のオリンピックを取り扱うときには、そうだろう」と述べて、過去の例として2014年のソチ五輪で起きたドーピング問題を取り上げた。国家ぐるみで、ドーピングの検体のすり替えなどの不正行為が行われたことが認定され、ロシアは国としての五輪参加が認められず、今大会も個人参加の「OAR」として出場する。 記事は、「ロシアのプーチン大統領は、北京で行われる金曜日の開会式に出席し、選手団を応援するとともに、IOCの(ドーピングの不正に関する)制裁に対する反抗と勝利のイメージをモスクワに向けて発信する予定だ。2014年、彼はソチ五輪を利用して国の威信を高めた。今回もその準備が整っているようだ」とロシアを批判した。 ただ、この記事のロシア批判の背景には、ウクライナ情勢を巡っての米露の対立も影響しているのかもしれない。