両陛下イギリス訪問へ 3代の天皇と英王室の深い交流【皇室a Moment】
2012(平成24)年5月、天皇、皇后だった上皇ご夫妻は、エリザベス女王の即位60周年を祝うためにイギリスを訪問されました。 この時、印象に強く残っているのが、上皇ご夫妻を迎える女王と夫のフィリップ殿下の何ともいえない柔らかな表情です。過去のいきさつを乗り越えて友情を育み、60年来の信頼を見るような表情です。 ――皆さん穏やかな表情で友情という絆があるんですね。
戦後、最初に来日したのは1961(昭和36)年のアレキサンドラ王女です。エリザベス女王の従姉妹です。当時の日本には「国賓」「公賓」の区分がなく、イギリスから最初に迎えた賓客を「国賓」として迎えました。 この王女を迎えた晩さん会で、昭和天皇はイギリスの最高位の勲章「ガーター勲章」をつけています。こちらが、その「ガーター勲章」です。
写真は上皇さまが1998年に贈られたものですが、昭和天皇にも戦前、ジョージ5世国王から贈られていました。しかし第2次世界大戦が始まると、イギリスの受章者名簿から削除されました。それが復活したのが1961年の王女の来日だったわけです。 今回の訪問でも勲章の交換が行われ、チャールズ国王から陛下に「ガーター勲章」が贈られると思います。 ――その瞬間も楽しみにしたいですね。 特別な瞬間になるでしょうね。
エリザベス女王も、1975(昭和50)年5月、夫のフィリップ殿下と一緒に来日しました。滞在は京都や伊勢も含めて5泊6日。東京では1.9キロをオープンカーでパレードし、沿道で11万人が熱狂的に迎えました。女王の来日はこの1度だけです。
この時、一行は日本が誇る新幹線にも乗っています。今では考えにくいですが、来日中、春闘の交通ゼネストで鉄道網が麻痺し、一行は東海道新幹線での関西入りをあきらめ、飛行機で大阪入りしました。新幹線に乗ったのは帰りの名古屋~東京間です。その裏には「日本の国内問題である労働争議に外国が影響を与えてはならない」という、女王の考えがありました。